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心配。
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冷房の効いたリビングでソファに寝転んで携帯と睨めっこすること十数分。
Le Lienから帰ってすぐにお風呂に入ることになって、今日も先に入らせてもらって、俺と入れ替わりで壱也さんは入浴中です。
今日はちゃんと着替えを持ってきたから、体型の違い(主に足の長さ)で悲しくなることはありません。
それはそうと、携帯と睨めっこの理由は昨日の夜、蓮に送ったLINE。
もう1日以上経ってるのに返信どころか既読もつかない。
これって間違いなくシカト、もしかしたらブロックされてる可能性もあるかも。
っていうか蓮くん普通にケータイ見てたからね今日。
「はあ・・・」
何だか悲しくなってしまった。
蓮に避けられ始めてもう一週間近く経つ。
どんなに話しかけてもシカトされるし、電話しても出ないし、バイトのない日に家にも行ってみたけど顔すら出さないし。
蓮の徹底ぶりは半端なくておばさんにも心配されるし、ほんとに為す術もない。
LINEとかメールならもしかしたら返ってくるかもしれないとか思ったのが間違いだった。
ここまでシカトされるなんてなかったし、喧嘩してもこんなにこじれたこともなかった。
これ以上どうしていいかなんてわかんなくなってきた。
本当にもうダメなのかもしれない。
やっぱり欲張り過ぎなのかな。
壱也さんも蓮も、なんて。
「はあ・・・」
長いこと眺めていた携帯を半ば投げやりな気持ちでテーブルの上に置いた。
腕で顔を覆うように視界を遮ると真っ暗な中に蓮の顔が浮かんできて、目頭が熱くなる感覚に咄嗟に目元に力を込めた。
ダメだ。
ここで泣いたらいけない。
耐えろ稜太!
今泣いたら絶対にすぐバレる。
壱也さんに心配はかけたくない。
ありったけの力を目元に集めたおかげか涙が零れることはなくて、ちょっとだけ自分を褒めてやりたくなった。
「稜太?」
「っっ?!」
不意にかけられる声に思いっきり身体が揺れた。
今ので完全に涙も引きました!
そろりと腕を退かせば俺を見下ろしてくる双眸とバッチリと目が合った。
「寝てんのかと思った」
「す、すみませ、起きてますっ」
ガバッと身体を起こせばクスクスと笑う壱也さんが隣に腰を下ろした。
いつの間に出てきたんだろう。
全然気付かなかった・・・
チラッと隣の壱也さんを見れば先週のように上半身は惜し気もなく晒されたままで、まだ濡れた髪を掻き上げる仕草に思わず目が泳いだ。
せめて上だけでも着てきてください・・・!!
顔に熱が集まるのがわかってそれを必死にやり過ごそうとするけど、俺を伺い見るように壱也さんにのぞき込まれて俺の努力は無駄に終わった。
うん、更に真っ赤です。
「どうした、疲れたか?」
「え、ぜっ全然大丈夫です!」
「ほんとに?」
「ほんとです!」
断言するもまだちょっと疑うように見てくる壱也さんに目を逸らしてしまった。
でも、そのせいで自然と目に入る裸体に俺の脳はパンク寸前。
軽くパニック状態の俺を知らない壱也さんが更に距離を縮めてきて、心臓が口から飛び出そうになった。
おでこ同士が触れ合ってコツンと小さく音が鳴る。
頬をくすぐる濡れた髪が冷たくて気持ちがいい。
息がかかるほどの距離に心臓がうるさいくらいに暴れ出した。
「なあ、稜太」
「は、はいっ…」
「何かあったか?」
「えっ」
「最近元気ねえから」
近い距離で見つめてくる壱也さんから目を逸らすことが出来ない。
じっと俺を見る目は確かに心配そうな色を含んでいて、気付かれてるとか思ってなかっただけにすぐに言葉を返せなかった。
引いていた涙も再び目頭に熱を持たせる始末。
それは壱也さんの問いかけを肯定するようなものだ。
もう完全に何かあったってバレた。
気付かれてしまっていたのなら嘘が下手な俺じゃ誤魔化し通す自信もなくて、正直に白状してしまおうと思った。
でも、
「あ、あああああの、壱也さんっ」
「ん?」
「え、えっと、あ、あの、」
「なに?」
「ふ、服!…着てくださいっ…」
白状しようにも目のやり場に困る状態では無理というもの。
とりあえず心の底からお願いしてみました。
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