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嫌なわけがない。
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頬に添えられていた手がゆっくりと下りていく。
首筋を辿るような指先の動きに反射的に肩が竦んだ。
「ひゃっ…!?」
変に高い声が出て慌てて口元を押さえた。
でも遅かったらしくその声は壱也さんにも届いていて、少し見開かれた壱也さんの目に言いようのない羞恥に襲われた。
「首、弱いのな」
「えっ、そ、そんなことは、んっ」
言葉を遮るように壱也さんの指先が擽るように首筋から耳の下を撫でる。
ビクビクと肩を揺らす俺に壱也さんの口角が少し上がった気がした。
「稜太、」
「あっ、」
唇を塞いできた壱也さんにそっとソファに押し倒されて、二人分の体重を受けたソファがギシリと沈んだ。
「んっ、ふ、んんっ…」
唇を割り開いて熱い舌が口内に侵入してくる。
舌を絡め取るその動きはさっきよりも激しくて、余すことなく口内を愛撫する舌に脳みそが溶けそうになった。
鼻から抜けるような自分の声にも、時折聞こえる濡れた音にも、これでもかと羞恥心を煽られる。
苦しくなる息に縋るように壱也さんの腕を掴めばようやく唇が解放された。
「は、いちやさん…」
「稜太、ちゃんと鼻で息しろって」
「あ、」
乱れた息をどうにか整えながら、確かに、と思った。
こういう行為自体壱也さんとするのが初めてな俺は、正直受け入れるだけでいっぱいいっぱいなわけです。
そんな自分がちょっとだけ恥ずかしい。
「…すいません、慣れてなくて」
「知ってる。つか謝るとこじゃねえだろ」
シュンとする俺のおでこにチュッとキスが落ちてきて、コツンとおでこが合わさった。
「慣れてるほうが困る」
「え、そ、そうですか?」
「ん」
優しく目を細める壱也さんにひとまず安心した。
壱也さんは嘘はつかないから。
でもホッとするのもほんの一瞬で。
真っ直ぐに見つめてくる瞳に心臓が跳ねた。
「稜太」
「は、はい」
「無理してねえか」
「え、…無理って?」
壱也さんが言ってる意味がよくわからなくて首を傾げた。
一体何のことを言ってるんだろう。
じっと見めれば壱也さんはちょっとだけ困ったような笑みをつくった。
「…っ!!」
前触れもなく伸びてきた指に、フニフニと唇を押されて危うくゆでダコになりかけた。
「お前こういうこと慣れてねえだろ?」
「……はい」
そのとおりです。
事実なだけに頷くしかない。
でも何だか情けなくなって耳を垂れる犬の如くしょげれば、優しく髪を撫でられる。
「稜太、」
「はい」
「はっきり言うけど」
「え、はい?」
「今めちゃくちゃお前に触りたくてたまんねえ」
「!!」
「でもお前が嫌がることはしたくない。大事にしたいって思ってる。だから無理してんならはっきり言って欲しい」
その真剣な眼差しに胸の奥がきゅうんって音を上げた。
経験は皆無だとは言え、俺も男だし触りたいって言う意味も、キスの先に何があるのかとか、もちろんわかる。
だからこそ、こんな状況で俺を気遣ってくれる壱也さんの優しさがめちゃくちゃ嬉しかった。
嫌なわけがない。
俺を大事にしたいって言ってくれる人に。
壱也さんに触れられることが嫌だって思うわけがないよ。
「お、俺、無理とか、してないです。…壱也さんになら何されても、たぶん、う、うれしいって思います…」
言いながら恥ずかしさでどうにかなりそうだった。
壱也さんの目を見ていられなくて逸らしちゃったし、最後のほうとかたぶん何言ってるかわかんなかったかもしれない。
でもちゃんと伝えたいって思った。
俺だって壱也さんが大好きなんだ。
「…お前ってほんと、」
「え、んっ、」
低い声に視線を戻すより早く、噛み付くように唇を塞がれた。
「…ぁ、んッ、んんっ」
息さえも奪われて苦しさに口を開けば、更に深くなるキスに涙が滲んだ。
逃げる舌も絡め取られて、吸い上げられる。
いっそ食べられてしまいそうな錯覚さえ覚えた。
「ふッ、んんっ…ぁっ」
何度も角度を変えられて、口内を深く貪るようなキスに全身から力は抜け落ちて。
壱也さんの服を掴む手にも力は入らなかった。
危うく意識が霞みかけた頃、ようやく唇が離された。
「っ、はぁ…は、」
長いキスが終わってここぞとばかりに肺いっぱいに酸素を取り込んだ。
肩で息をしつつ壱也さんを見上げれば、口許を親指で拭われる。
「は、い、ちやさ…」
「稜太、頼むからあんま煽るな」
「えっ、あ、煽ってなんか、」
「…無意識かよ」
「え、な、に…」
「気にしなくていい」
まだ整わない息のままのぞき込めば、壱也さんは少しだけ困ったように笑って俺の頬にひとつキスを落とした。
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