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邪魔が入れば不機嫌にもなる。
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時刻は昼時。
外は雨。
しかも外出するのもどうかというくらいの降り方だ。
なので遅い朝食を取ったあとは、そのままのんびりすることになりました。
あれです、お家デートです。笑
相変わらず美味しい壱也さんの手料理を食べて。
ソファに二人で身を沈めてまったりしつつ会話を交えてテレビを眺める。
時折壱也さんの長い指が俺の髪や頬を撫でてきたり。
そうでなくても肩が触れていたりとか。
常に身体のどこかで壱也さんの体温を感じる状態に少し赤面してしまう俺です。
壱也さんはスキンシップが好きなのかもなんて。
ちょっと可愛く思える一面に胸の真ん中あたりがくすぐったくなった。
やっぱりこういうのって嬉しい。
すごく距離が近い感じがするじゃん?
身体じゃなくて気持ちが。
心臓はドキドキとうるさいけど、ともすれば緩みそうになる口元をどうにかこうにか引き結んでいた。
そんなまったりとした時間を過ごしていると、ふと昨日のことを思い出した。
そう言えば、昨日途中で意識を飛ばしてしまったこと謝ってないや。
こそこそと壱也さんの横顔を盗み見る。
今日の壱也さんの様子を思い返してみるけど怒ってはないみたい。
…うん、あの電話の時は別として。
気にならなくもないけど、あれは努めて忘れようと思う。
さて、どうやって話を切り出そうか。
「…どうした?」
「えっ」
横目でこっそりと様子を伺っていると、不意に壱也さんが小さく笑いながらこっちを向いた。
心の準備ができていなかった俺は例によって声を漏らす。
気付かれないように見ていたはずなのに気付かれてしまった。
何でバレたんだろうって思いながらも、おかげで掴めたきっかけにようやく口を開くことができた。
「あの、壱也さん…」
「ん、」
「あの、ですね、」
「ん?」
さわさわと頬を撫でる壱也さんの手が気になる。
これはわざとなのだろうか。
いやいや壱也さんのことだ、そんなことないはず。
おずおずと視線を上げれば楽しそうな壱也さんの顔を視界にとらえた。
ん、あえて気にしないことにしよう。
「あの、昨日はすいませんでした」
「昨日?」
何のことだというような壱也さんの反応。
きょとんとした表情にほんとにわかってないって見て取れる。
ちょっとだけ苦笑を漏らす俺に壱也さんは不思議そうに俺を見てた。
「あの、また途中で寝ちゃったから…」
「…なんだそのことかよ。気にすんなって」
優しく笑みを浮かべてふって息を漏らす壱也さんにやっぱり怒ってないことに安心しつつも、ちょっとだけ居たたまれなくなった。
だって大事な場面で寝るとか呆れられても当然なのに。
「…ごめんなさい」
「謝ることじゃねえだろ」
しゅんと首を垂れる俺に壱也さんはまたひとつ息を溢す。
元々近かった距離が更に近くなって、気付いたら壱也さんの腕に抱き寄せられていた。
「ぇ、壱也さん?」
コツンとおでこを合わされる。
至近距離で見る整った顔に心臓が大きく跳ね上がった。
「言っただろ?最後まではしねえって」
「えっと、」
「覚えてねえか」
思案する俺に壱也さんは小さく苦笑を溢す。
言われたような言われてないような。
あの行為のほうが強烈すぎてすいませんそこまで覚えてないです。
「どっちにしろお前が気にすることじゃない」
「いちやさん…」
「ま、そのうち慣れさせてやるから心配すんな」
「えっ」
それは一体どういう意味でしょう。
少しだけ意地悪な笑みを浮かべる壱也さんにさすがに聞けなかった。
それから少しだけ見つめ合ってゆっくりと唇が重ねられる。
優しく触れて、そっと離れる。
そんなキスを何度も繰り返す。
相変わらず心臓はうるさいけど、戯れるようなキスにくすぐったさを覚えた。
少しずつ深くなっていくキスにまだお昼なのに、なんて内心焦りつつ回らなくなり始めた頭で考える。
唇を舌先でつつかれて、少しだけ緩めたそこを割り開いて熱い舌が侵入してきた。
「…っ、ん…」
ねっとりと口内を愛撫してくる舌の動きに甘ったるい息が漏れる。
途端、けたたましく響き渡るバイブ音にパチっと目を見開いた。
何事かと目だけで周りを見れば、その発信源は目の前のテーブルに置かれていた壱也さんのケータイだった。
「え、…ん、ぁ、」
壱也さんはそれを一瞥するも何故か再開されるキス。
バイブ音を気にしつつもされるがまま深いキスを受けていれば、振動はようやく止まった。
だけどほっとするのも束の間。
またすぐに震え出したケータイに再びキスは中断されるのだった。
「あ、あの、出ないんですか?」
「……出る」
おずおずと言えば、あからさまに不機嫌そうな表情をする壱也さん。
俺の頭をひと撫でして立ち上がった壱也さんはケータイを手に取って、キッチンへと向かった。
「なんだよ、」
不機嫌丸出しの声に思わず苦笑が漏れる。
ケータイを耳元に押し当ててタバコに火をつけた壱也さんの横顔を見ながら、
今日は意外な一面ばかり見るなぁ、なんて思った。
でも電話がかかってきて良かったのかもってちょっと思う。
だってそのまま続けてたら、なんかそういう方向に進んでそうだったんだもん。
途端、横切る昨日の記憶に一瞬で顔が熱くなる。
なに昼間から変なこと考えてるんだと慌てて自分に喝を入れた。
いかがわしい妄想を追いやるように、俺はつけっぱなしだったテレビに視線を移したのだった。
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