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「スキあり」
「ーーっ!?」
冴木が俺の手にキスをしているスキに、左拳を冴木の鳩尾に埋めてやった。
昔みたいに毎日喧嘩なんて今の俺にはあり得ないから、少し力が劣っているかもしれない。
それでも、見事に俺の拳が鳩尾に入り、眉を寄せて苦痛に歪む冴木の顔。
少しは、効いたみたいだ。
「エレベーターの件と、今のキスのお返し」
今日の寝床も決まっていない俺には、冴木の好意は有難いと思う。
昔の事を気にしていて俺に色々準備をしてくれているなら、受け入れようと思うけれど、
「次、俺の身体に触れたら倍返しするから」
だからって、こういう事に付き合うつもりは更々ない。
鳩尾を押さえて俺を睨む冴木を置いて、部屋から出て行った。
さっき渡された鍵は鞄に仕舞い、エレベーターのボタンを押して来るのを待つ。戸締りを終えた冴木も、俺の隣で待っている。
凄く視線を感じるけれど、冴木を見ない様に、俺はエレベーターのボタンを見つめていた。
ポンと、軽快な音を立てて到着したエレベーター。
扉が開いたと同時に、俺は中へ入った。
直ぐに冴木もエレベーターに乗り、俺の腕を掴むなり抱き寄せてきた。
「おまっ」
俺の腰に腕を回し、身体を密着させる。
膝蹴りしてやろうと脚を上げたけれど、脚の間に冴木の片足が割り込んできて阻止されてしまった。
「さっき言っただろっ!俺に触れんなっ!!」
「何故だ」
「俺は男だ!男のお前にこんな事されても嬉しくもなんともねぇし気持ち悪りぃんだよ!!」
「お前は、性別を気にする奴ではないだろう?」
「は?」
「お前の前の恋人は、男だっただろう」
何で知っているんだ。
「何言ってんだよ。んなわけねぇだろ。俺は女が好きだ」
「知っている。だが、女以上に好きになった奴がいるだろう」
冴木が何故そこまで知っているんだ。
俺とあいつの関係は、チームにもバレてはいなかった。
冴木は、どこまで俺の事を知っているんだろう。
「お前には、関係ねぇ……っ」
まただ。
また、冴木は俺の唇に自分の唇を押し付けてきた。
冴木の舌の侵入を許してしまった俺の口の中に、何かが放り込まれて喉を流れていく。
どうしよう…身体が、凄く怠くなってきた。
瞼も重くて、冴木がボヤけて見える。
手に、力が入らない。
あ、鞄が…落ちる。
ぴちゃぴちゃと、俺と冴木の唾液が混ざる音を聞きながら、俺は意識を手放した。
「やっと、俺の手の中に……涼太、涼太………だ、……す、…だ。……好きだよ、りょーた」
俺の唇を貪り、切なげに俺の名前を呼んでそう言っていた冴木の言葉など、眠りについてしまった俺に届く事はなかった。
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