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秘書室
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『りょーちゃん、大好き』
そう言って、俺の身体を包み込む彼。
あったかくて、優しくて、その腕の中に居ると、俺は凄く安心した。
『りょーちゃんは?』
とろけそうな甘い声で聞かれて、俺は、
『俺も』
と、小さく答えた。
俺を抱き締める彼の腕の力が強くなって、唇が重なる。
冷たい唇。
何度重ねても、彼の唇はいつも冷たかった。
身体は凄く温かいのに、俺を見る瞳も、抱き締める腕も、優しくて温かいのに、唇だけは氷の様に冷たい。
俺の熱で、その唇に熱をもたせたい。もっと俺を求めて、俺を感じて、俺だけを見てほしい。
『なつ…』
あれ?何でお前、そんなの持ってんの?
何で、俺にナイフ向けてんの?
夏樹は……なんで。
「な、つ……んっ」
あ、凄く…温かい。
「なつ、ふ…んぁ」
激しい。熱い。
こんなに噛み付く様なキス、初めてだ。
でも、このキスを、多分…俺は知っている。
だけど、俺は夢中だった。
夏樹の背中に腕を回して、自分から舌を絡める。歯列に夏樹の舌がなぞり、後孔が疼いた。
俺は、自ら夏樹の脚に自分の中心を擦り付けて強請る。
早く触って欲しい。
早く、抱いて欲しい。
「なつき、なつきっ。早く…っ」
『りょーちゃんは、こういう時、凄く甘えたさんになるよね。俺、りょーちゃんのそういう所、凄く好きだよ』
耳元で囁いて、シャツの上から無い胸を揉まれる。
布の上から触れられる感覚に、もどかしくてたまらない。夏樹の触れる箇所から順番に、そこは熱を帯びていく。
「なつ、なつきっ」
『……死ねば、良かったのに。……お前なんか』
「え?」
『お前なんか、好きになるわけないでしょ。信じちゃって、りょーちゃん、バッカじゃないの』
「なに、言ってんだよ…」
『お前なんか、最初から大っ嫌いだったんだよ。お前は、俺にずっと騙されていたんだよ』
「涼太、涼太…」
「……だいっきらい」
俺の事、大っ嫌いって言った。
「や、めろっ」
胸を弄る彼の腕を掴み、強く捻ってやる。
皮膚の捻れる感覚に、眉間に皺を寄せる相手は、
「っ…」
夏樹じゃなくて、冴木だった。
「…俺に、触れるなって……言ったよな?」
冴木にキスされて、何か飲み込んで、寝ちまって…。
俺は、どうやら夢を見ていたらしい。
昔の、あいつとの…。
「……ああ」
「なら、何で俺の上に乗ってんだよ。重てぇだろ」
「……仕事、そろそろやらないと、後々お前が大変になるだろうから起こしにきた」
「ここは、どこだ?」
高い本棚が壁一面にズラリと並んでいる。
重そうな扉が、冴木の後ろに見える。どうやら、この部屋はあのマンションではないらしい。
背中が痛くないから、多分俺はベッドの上だろう。
起き上がろうとしたけど、少し、身体に違和感を感じた。
ネクタイが、ない。
下半身が、熱い。
「秘書室だ。ここを、これからお前に使用してもらう」
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