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「俺、何か言ってたか?」
なんか…あの夢、すげーリアルな感じがした。
まだ俺は、あいつの夢でこんなに身体が反応するのか。
「なつき…」
「ーーっ!」
「そう、何度も…言っていた」
まだ、俺は…。
「縋る様に、何度も…」
忘れられていないというのか?
「俺に抱き付いて、なつきに早くヤれと…せがんでいた」
冗談だろ。勘弁してくれ。
「っ……もういい。仕事、するから…説明頼む」
「俺が、忘れさせてやる」
「は?」
「俺が、あいつの事を忘れさせてやると言っている」
何で冴木がそんな顔すんだよ。
何で、お前が泣きそうな顔してんだよ。
調子狂う。なにこいつ。意味、わかんねぇ。
「なに言ってんだよ。お前には関係ーーっ!」
俺の上に覆い被さる様に身体を密着させ、冴木は俺の口を塞いだ。
今日で何度目だろう。
大阪に来てまだ数時間しか経っていないのに、なんで俺はこんなことになっているんだろう。
何の為に、俺はここに来たんだ。
会社に来てまだ何もしていないのに。
……何で冴木のキスは、こんなにも温かいのだろうか。
「ん…」
唇を何度も啄ばみ、表面を舐め上げる。
冴木の舌が俺の唇の割れ目をツンツンと叩く。それが何の意味か理解すると、俺は何故か口を開いた。
「あ…」
あの日から、俺はあいつの事を居ないものだと思う様にした。
自分では、もう終わった事だと思っていた。
最初は何度かあいつの夢を見ていたけど、就職してからそれは無くなって、本当に、俺の中から居なくなったと思っていたのに。
「ぁ…はっ」
今まで周りに昔の俺を知っている奴が居なかったから、安心していたのだろうか。
「んぅ…」
深くなるキスに、段々苦しくなってきた。
息継ぎを許さない冴木のキスに、頭が真っ白になっていく。
このまま記憶とかぶっ飛んで、何も無かった事にして、全てやり直せたらいいのに。
いや、そしたら俺は、今ここに居なかったかもしれない。
「さ、え…」
一瞬離れた冴木の唇。
一言文句でも言ってやろうかと思ったけど、直ぐに塞がれた。
このまま何もしないでいたらどうなるだろう。
ヤられんのかな。
「何故、何もしない」
唇が離れ、俺と冴木の唇の間に一瞬一本の糸が引いた。
困った様に眉尻を下げて問う冴木に、どう答えていいか分からない。
俺にとって、こういう事はどうでもいいと思っているから。
あいつに裏切られてから、真面に人と付き合った覚えが無い。
「おい、答えろ」
急かされて、何をどう答えるか考える。
俺が忘れさせてやる、なんて、冴木はどういう意味で言ったのだろう。
ああ、ダメだ。質問と違う言葉が頭を過った。考えても無駄だ。
とりあえず、俺らしく聞いてみようか。
「お前、何で俺にこんな事すんの?」
「……」
あ、れ?
この顔、さっきも見たな。
口を手で覆い、視線を逸らす冴木の顔は紅潮していた。
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