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3、いつもの日常 -赤塚 唯史-
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それからと言うもの、特にこれといった変化は無くいつもの日常を送っていた。
葉月さんがあれからスマホを肌身離さずになった……訳でもなく常にその辺に置いてある。
手が離せないときに電話がかかってくれば相変わらず俺に確認させるし
スマホを触っている時間が増えただとかそんなこともない。
自室にも入れてくれるしパソコンを覗き込んでも文句は言われない。
裕人からも連絡が来たが、
『あー、うーん。あの、うん。会社の人……だったよ。それしか分からなかったや……』
という酷く疲れた声での報告しかなかった。
俺はと言えば不安が最大値まで達していた。
裕人からの『会社の人ということしか分からない』というのは多分嘘だ。
どういう関係なのかも知ってしまって裕人ですら上手く隠し切れなかったんじゃないか。
いややっぱ会社関係の人で、誰かに聞かれちゃまずい重要な話しだったから外に出たんだ。
そう思い込もうと思っても。
いやいや、実は何年か前から好意を持たれている女性からで、
勢いで俺と結婚してしまったことを後悔し水面下で関係を持っていたんじゃないか。
一度こうなってしまうと中々抜け出せない。
思考の癖はやっかいで、前向きになれたとはいってもネガティブなことを考え始めると
待ってましたとばかりに悪い考えばかりがぽんぽん浮かんでくる。
やっぱり女性の方がよくて真っ当なお付き合いがしたいんじゃないか。
俺は葉月さんに寄りかかりっぱなしで中々前に進めないからいい加減うんざりしたんじゃないか。
そもそも男だし、一時の気の迷いであったと思っているんじゃないか。
それを俺が鵜呑みにしてしまったから流されてしまったんじゃないか。
だとしたら早めに葉月さんから離れたほうがいいんじゃないか?
「なあ、あのさ」
「何でしょう」
「あの……その」
「貴方最近何か悩んでいますよね?」
「え!?」
何故ばれた。……いや、そうじゃなくて。
「顔に書いてありますよ」
「まじで?」
思わず鏡を確認……じゃなくて。
「その、薫さんて誰?」
「案外直球できましたね。」
しまった。間違えた。
しかし言ってしまったものは仕方がない。いつも通り笑っている葉月さんの回答を待つ。
「えー、そうですね…薫さんは……」
ヴーッ
言いかけたところで葉月さんのスマホが揺れた。
ディスプレイには件の『薫さん』の文字だ。
「噂をすればなんとやらですか。すみません、少し席を外します」
さっとスマホを持ちやはり家の外に出て行く葉月さん。
説明しようとしてくれていたが珍しく言葉を選んでいた。
あれ?まじで女の人か?
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