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5、いつもの日常 -葉月さん-
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うん。葉月さんはモテるし、経済力も人間力もあるし。
こんな俺を拾ってくれた優しい葉月さん。
いつまでも甘えるわけにもいかない。そんな気は毛頭無いけど。
恩返しは離れていたってできるわけだし。
席に着き、すみません、と謝る葉月さん。
「あの……さ。その。俺、葉月さんと一緒にいるのやめようかと……思って」
本当はそんなこと思ってはいないが。
「……何故ですか?」
『薫さん』の話しをしようと口を開いたところに先手を打つ。
突然の、何の脈絡も無くそんなことを言ったもんだから相手は少し驚いた顔をしたがすぐに
顔が険しくなった。あまり見た事のない顔に咄嗟に謝ろうとしてしまうがここは我慢だ。
俺は葉月さんに幸せになってほしい。真っ当に。
「その………」
「何か不満でもありましたか」
珍しく低い声。怒っているのか。
それもそうか。散々金を使わせておいて、俺にプライベートを邪魔されておいて、突然出て行くだなんて。
それとも思いの外楽に別れられそうで気持ちが上向いたのを悟られないようにする為か。
何か、また人を疑うスキルが復活してしまった気がする。性格悪いな、俺。
そんな人じゃないって分かってるのに。
「…散々世話になっておいて、こんな関係になっておいてと…思うかもしれないけど。
その。やっぱ、葉月さんてモテるじゃん、言い方は悪いけど、女の子に困らねえじゃん。
ここは日本じゃん。やっぱ、その、女の子とさ。真っ当に、その。幸せになってほしいから」
えっと、とかあの、ばっかりで全然言葉にならない。
それでも葉月さんは最後まで黙って聞いていた。
この家になかった重い沈黙が痛い。
「私は、貴方が傍にいてくださればそれだけで幸せなんです。」
「でも、やっぱ、男だしさ。周りの目とか。」
「周りの目とは何ですか?」
「え?えっと、その、外の、人とか」
「その、外の人というのはどこのどなたですか。お知り合いですか。
仮にお知り合いだったとして、その方は貴方の人生に関係のある方なのですか。
深く、深く貴方の人生に関わるような関係の方なんですか。」
淡々とされる質問に言葉が詰まる。
確かに、周りの人って誰だろう。でも本題はそこじゃない。
「いや、その。女の人といれば周りに陰口叩かれたりすることないじゃん?」
「何故私の好きな人と一緒に居るだけでどこの誰とも知らない方に陰口を叩かれなければならないのでしょう?」
………えっと。
「お、男同士ってやっぱ変だぜ。それに俺ヒモじゃん。ただの。
何の能力もなくて、ずっと家に篭ってて、働くこともできなくて、
てかやれないことの方が多くて、俺がいなかったら葉月さんはもっと自由に使えるお金が増えるし、
飯だってわざわざ作らなくて済むし、とにかく俺がいない方が色々スムーズじゃん!?」
何故か最後の方は逆切れになってしまった。
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