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27.メール
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陵からメールが入っていることに気付いたのは、出前のラーメンを食べ終え器の回収を依頼しようと、もう一度スマホを手に取った時だった。
「新着メール1件 from大沢陵」とご丁寧に名前まで通知してくれる俺のスマホは、着信音を切ったままだったらしく今まで気づきもしなかった。
きっと食べている間に届いていたのだろう。
『日曜日の予定は?』
何とも彼らしい、要件だけを尋ねる短いメールに思わず吹き出す。
この様子だと帰って昼食を摂り、ゆっくりしている頃に送ってくれたのだろう。
そして、帰宅からそこまで時間が空いていないところからして、比較的穏やかに母親と再会出来たのだろうと予想する。
休日は特に予定は入れないようにしているので、今週末も自宅で過ごすつもりだった。
『日曜日は1日空いてるよ。』
今は何も詮索せず、聞きたければまた日曜日に聞けばいい。
陵が話したくないというのなら、何も聞かずに、ただ久し振りに誰かと一緒に過ごす休日を楽しめばいい。
少なくとも、昨日自分を殺せと涙を零していた彼は、俺に会いに来ようと思う程には、生きようとしているのだろうから。
返事を送ると、すぐに返事が返ってきた。
『じゃあ、昼過ぎくらいに行く』
『分かった。電車分かる?迎えに行こうか』
『駅は覚えたからそっちまで行く』
昼過ぎに着く電車はそう多くはないから、大体の着く時間を聞いておけば、駅まで迎えに行けるだろう。
今週末が少し楽しみになってスマホから目を離せば、食べ終えたラーメンの器が目に入る。
そういえば器を返すために電話をしようとしていたのだと思い出し、メール画面を閉じると電話番号をタップした。
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