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1.少年
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その日は珍しく残業で遅くなり、終電での帰宅になった。
俺の勤める会社は日曜定休でその点はとても有り難いのだが、その分土曜日は基本的に仕事がたて込みやすい。
今日は特別早急に処理しなければならない案件が多く、俺の課は全員が書類作成に追われていた。
だが、明日は休みだ。
今日はゆっくり風呂に浸かって疲れを癒して、溜めていたロードショーの録画でも見ながらビールでも飲もうか、なんて考えていた時だった。
「…ん?」
最寄駅のホームに降り立ちふと顔を上げると、数メートル先に綺麗な金髪の少年が立っているのが目に入った。
横顔しか見えないが耳にはいくつかピアスが光っていて、頬には湿布がされていた。
終電時刻は過ぎた筈なのに何をしているんだろう。
そう思いながら見ていると、急行列車の通過を知らせるベルが鳴り響いた。
ピクリ、と肩を震わせた少年は、顔を上げて真っ直ぐに車両が来る方向を見つめた。
その瞳があまりにも暗い色をしていて、えもいわれぬ違和感を覚える。
そのままこちらに背を向け線路の方向に向き直り、ふらふらと足を踏み出すのを見て、ぞくりと肌が粟立つのを感じた。
…もしかして、彼はとんでもない事をやろうとしてるんじゃないのか?
無意識に足が動く。
遠くにちらりと急行列車の姿が見える。
少年の足は警告線を越え、それでもなお歩みを止める様子はない。
轟音と共にホームに列車が滑り込む。
少年の身体がホームから線路へと飛び出していく。。。
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