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22.朝
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結局その日は何もしないまま家で過ごし、夕飯を食べて風呂に入り日が変わる前に眠りについた。
「あら、今日は学校に行くの?」
翌日。
普段より早く目が覚めてしまい、制服のブレザーに着替えて襖を開けると、キッチンで朝食を作っていたらしい母親が振り返り、少し驚いた表情を浮かべる。
「…しばらく行ってなかった、し」
「そう。じゃあ朝ごはん食べながら少し待ってなさい」
気まずくなって目を逸らしたのはあまり気にしていない様子で、ご飯とみそ汁をよそって机の上に置くと、そのまま戸棚を漁って弁当箱を取り出した。
時々学校を休むこともあるが、登校する日はちゃんと弁当を用意してくれていて、今日も作ってくれるらしかった。
どんなに忙しくても全て手作りのおかずが一杯に詰め込まれている弁当は、いつも周りにいるクラスの奴から羨ましがられる。
今日も昨日の残り物を温めたり卵焼きを焼いたりしながら、てきぱきと準備をしてくれた。
大きな弁当箱一杯のおかずと大きめのおにぎり2つを弁当袋に詰め、朝食を食べ終わった俺の前に置く。
「はい、出来た」
「ありが、とう」
「ふふ、普段お礼なんか言わないのにねぇ」
母親は少し嬉しそうに笑って、温かい緑茶を置いてくれた。
飲むと体の中から温かくなって気持ちも落ち着き、皿を下げてから歯を磨き鞄を手に取る。
「…行ってくる」
「はい、行ってらっしゃい」
背中から嬉しそうな声が掛かる。
改めて言うと少し照れくさくて、まだ温かい弁当を鞄に入れ、振り返らずに家を出た。
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