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23.友人
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俺の通う高校は、家から歩いて20分くらいの所にある。
「陵っ!久しぶりだな!お前1週間も何してたんだ?連絡つかねぇし学校も来ねぇしよ」
下足箱で靴を脱いでいると、懐かしい声が一気に捲し立てるようにそう言い、俺の肩を叩いた。
新庄智宏(シンジョウ トモヒロ)
俺より一回り身体が大きくて厳つい顔、ブリーチをかけ髪色はほぼ銀色に近い。
中学からの同級生でクラスも同じ此奴とは、学校内外を問わずつるんでいる仲だった。
智宏は俺と昭人の関係も知った上で、それでも偏見なく3人で一緒にいてくれた。
「悪い…まぁ、気分じゃなくてさ」
「そうか。その…話は聞いてたよ、昭人の…葬式のこと」
「あぁ…」
葬式当日は一緒に行かなかったから、きっと現場を見た訳ではなかったのだろう。
横から様子を窺うような智宏の視線を感じたが、特に言う事も無く教室に向かおうと背を向ける。
「陵」
「何だ?」
「………いや、何でもねぇ」
そのまま黙り込んでしまった横顔を覗き見れば、智宏は少し眉間に皺を寄せて何か考えていたが、俺は気にせず教室へと足を進めた。
教室の扉を開けると、久しぶりに来た俺の姿にクラスメイトがざわつく。
コソコソと話している内容が良い噂ばかりではない事は、何となく雰囲気で感じ取れた。
「…っ…見てんじゃねぇよてめぇ等!!」
「おい、やめろ」
今にも暴れ出しそうな智宏の肩を掴んで自分の席に引っ張っていくと、通り道にいたクラスメイトが避けるように道を開けた。
窓際にあるのが自分の席、その隣が智宏の席だ。
自分の1つ前の机に花瓶が置かれていることに気付き、思わず座らずに足を止めた。
「……アキ」
俺の机の前、窓際の前から3番目は昭人の席。
こうやって一緒に過ごした場所を訪れる度に実感する。
昭人はもう…この世にはいない。
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