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24.退屈
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久しぶりに出た授業は内容が随分先に進んでしまっていて、あまり頭に入って来なかった。
こんななりはしているけど勉強は手を抜きたくなくて、普段は休んでも自分で補填するようにしてた。
でもこの1週間は何もやる気が出ず教材を鞄から出しもしなかったから、差が開いてしまっていた。
それに顔を上げる度に前の席の花瓶と小さな花が視界に入って来て、嫌でも集中を削がれてしまう。
1限目は何とか耐えたが、2限目からは授業を聞く気にもならなくて、午前中の間窓から雲一つ無い青空を眺めていた。
「はぁ…」
4限目になり、やっぱり退屈だな、と思いながらスマートフォンを弄る。
すると仁科からメールが来ていて、何気なく開いてみた。
『今日は学校行ってるの?』
…親かこいつは。
『いるよ』
適当に返信を返すと、『そっか、良かった』とすぐに返事が返って来て少し戸惑った。
一昨日知り合ったばかりのそいつの言う“良かった”の意味が理解できない。
ついに、スマホをポケットに突っ込み机に突っ伏した。
「はぁ…めんどくせぇ」
「大沢ぁ、何が面倒臭いって?」
ちらりと視線を上げれば数学教師の担任が目の前に立って睨んでいて、最悪だと思いながら舌打ちをした。
「久しぶりに来たと思えば、その授業態度は何だ」
「…うるせぇ」
話をするのも嫌で、静止を振り切り教室を出ると、そのまま静かに過ごせそうな場所を探して裏庭へと向かった。
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