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異変
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「え、クロ……? 」
ある朝。いつもと変わらぬように起きたシロの目に写し出されれたのは残酷なものだった。
真っ赤に染まった地面。その血溜まりの上に横たわった、クロ。
「……ん」
「!クロ!!」
クロの右手がわずかに動く。
生きている!シロは弾き飛ばされたようにクロの元へと駆け寄った。
「クロ、どうしたの!?お願い、目を開けて!!ねぇ!」
「シ、シロ……?わ、悪い……」
「クロ!!」
「あいつ、ら……来ちまって……俺、……逃げ、ろ……」
クロは息も絶え絶えで見るからに危険な状態だった。体中の傷跡が痛々しい。
「クロ!!……ま、待って!今、今助けるから!!」
「……?」
「クロ……、ぼ、僕の肉、食べて……っ?気持ち悪いかもしれないけどっ……」
何いってるんだ、とクロは笑ったがその言葉はすでに音になっていない。
伏せられた目は今にも光を失いそうだった。
「待って、待ってて、クロ。いま、今すぐ……っ」
カバンから漁り出したナイフを握る。
クロが居なくなってしまう。恐ろしい思いが全身を駆け巡り体が震えた。
言い伝えなんて信じてなかっけど……っ
もし僕の何かに力があるなら……お願い、クロを助けてっ……
シロは自らの腹にナイフを立てた。
「っ……うぁっ……」
激痛。でも構っていられなかった。
血が後から後から溢れ出してくる。
それをガタガタと震える手ですくい取りクロの口元へ送る。
肉を削ぎ落とし、血と共に口元へ。
けれどクロの口はすでに乾き切っていた。
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