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兄ちゃん
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「もしもし。」
煌と二人きりで部屋にいるのが息苦しく、ちょうどタイミングよく電話がかかってきたので助かった。
陽向は電話に出ながら部屋を出た。
「もう着いたのか?」
電話の相手は陽向の兄、空(そら)だった。
「着いたけど最悪だよ。」
陽向は溜息をつきながら言った。
「ははは。早速煌に会ったのか?」
空は笑いながら言った。
「えっ?何??空兄、なんで知ってるの?てかまさか知ってたの?」
陽向は耳を疑った。
「それより陽向こそ知らなかったのか?そこの大学の理事長のこと。」
理事長・・・?空は何を言ってるんだ?
空の言っていることにイマイチ理解できない陽向は考え込んだ。
「陽向。自分の通う大学のことくらいちゃんと知っておかなくちゃダメだぞ。理事長の名前も分からないのか?」
いつもの説教が始まりそうで、陽向は電話を切りたくなった。
「わかんない・・・。」
言い訳もできそうにないので素直に答えた。
この後に懇々と始まる説教を覚悟して。
「やっぱりな。陽向、よーく覚えておくんだぞ。そこの大学の理事長は、神宮寺 翔だ。」
神宮寺 翔・・・・?
ん・・・?どっかで聞いたことあるような・・・?
「まだピンと来てないようだな。神宮寺 翔は神宮寺 煌の父親だよ。」
「へ・・・?。」
まさか・・・・。なんで気づかなかったんだ・・・。
俺のばか・・・・・・・・。
陽向はショックで目の前が真っ暗になった。
「おい、陽向!大丈夫か?」
無言の陽向を心配して、空が言った。
「な、なんで教えてくれなかったんだよー!!空兄最初から知ってたんだろ!」
信じられない…。
この世で一番信頼している兄に騙されたなんて・・・。
「いや、俺は最初から反対してたんだぞ。家から通える大学だっていくらでもあっただろ。陽向がどうしてもそこの大学がいいって聞かないから・・・。」
そういえばそうだった・・・。
「だけどさ!」
「まあ、とにかく嫌なら帰ってきてもいいんだぞ。兄ちゃんたちはいつでも陽向を待ってるからな。」
そういうこと言われると意地でも帰りたくない。
「もういいよ!じゃあね!!」
陽向はぶちっと電話を切った。
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