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過去5
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「ひぃ!ゆ、許してくれよぅ!」
いじめっこは煌の冷たい目線が恐ろしく、泣きすがった。
「陽向は俺のものだ。勝手に触るんじゃねーよ。二度と触れないようにしてやる。」
煌はいじめっこに掴みかかった。
「煌ちゃん!やめてよ!!」
陽向はまた殴ろうとしている煌が嫌で叫んだ。
煌が陽向の方へ振り返った隙に、いじめっこは必死に逃げて行った。
陽向は煌のところへ行き、殴ろうと握った煌の拳を両手で包んだ。
「煌ちゃん、そこまでしなくていいよ。」
陽向は悲しそうな顔をした。
煌は陽向の顔を見つめると、擦りむいて血で滲んだ頬に気づいた。
煌は陽向の擦りむいた頬を優しく撫でて砂を払うと、ペロペロと舐めだした。
陽向はビックリして煌を押しかえそうとした。
「大丈夫、消毒だ。大人しくしてろ。」
煌はぎゅっと陽向を抱き寄せると、耳元で囁いた。
また頬を舐めるのを再開すると、緊張の糸が切れた陽向はボロボロと泣き出した。
大きな瞳から大粒の涙を流し、しゃっくりをあげて泣いている陽向を煌はまたぎゅっと抱きしめた。
「怖かったのか?」
煌が聞くと陽向は首を縦にふってうなずいた。
「でも、ひっく、煌ちゃんが殴られると思ったのが一番怖かった・・・。」
陽向は煌に抱きついた。
煌は陽向を抱き寄せた。
「俺は強いから大丈夫だ。お前を傷つける奴は許さない。陽向は俺の物だから。」
陽向は煌の胸に顔を埋めて頷いた。
陽向は煌の鼓動と、ほのかに香る心地よい匂いに安心し目を閉じた。
この匂いすごく懐かしい・・・・。
気持ちいい・・・・・。
カーテンの隙間から入るまぶしい日差しに照らされて、陽向はゆっくりと覚醒した。
でもまだ瞼が重く開かない・・・。
いつもと違う寝心地に違和感を感じ、陽向は自分がどこにいるのかわからなかった。
(あ・・・、そうか俺昨日から寮にいるんだ・・・。)
まだはっきりしない頭で思い出した。
その時、また夢と同じ心地よい香りがした。
(あれ、この匂い・・・。 あ、そうかまくらの匂いだ・・・・・。)
陽向は、昨日嗅いだまくらの匂いを思い出した。
(いい匂い・・・・。)
陽向は匂いを嗅ごうと、まくらを抱き寄せて鼻をくっつけた。
(ん?なんかこの枕硬い・・・?)
まくらの感触がおかしいと感じ、陽向は重い瞼をゆっくり開けた。
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