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苦手な彼
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大体俺は彼が苦手である。そう断言するのに
はいろいろとまぁ、あるわけだが。
容姿は完璧。背も高く成績も運動まで完璧。
俺より一つ年上で今年高2。
母親に似て可愛らしい顔に生まれ成績も運動も人並みの俺とは…
俺とは真逆。…そんな奴が幼なじみってのでさえ泣きそうなのに、
生まれた時からずっと一緒。何をするのにも。
…そして、何処へいくのにも…。
「何処いくの?陽夏(ひなつ)」
そう呼ばれ立ち止まる。皐月(さつき) 陽夏。
それが俺の名前だ。クルリと振り返ると不満
そうな顔をした彼、日向(ひゅうが) 十和(とわ)
が腕を大きく広げ俺を待っていた。それにため息をつく。
だってここ、俺の家の玄関だよ。何してんだよ。
「トワ、俺はもう今日からここには帰らないんだ」
そうやっと俺は十和から離れられるのだ。
頑張って頑張って全寮制の男子校に合格し、寮に住むことになった。
まぁ、家から通える人は家からでもいいんだけど。
今日からそこに移動する。明後日が入学式だ。
ダンッと十和がいきなり家の壁を殴る。いや俺の家なんだけど…。
「ヒナは嬉しい?やっと俺から離れられると思って?」
険しい顔をしたトワは見たこと無いくらいに何かを…楽しんでいた。
「え…。」
図星をつかれあわてる。トワから離れられるのは凄く嬉しい。むしろ逃げたいからこその全寮制だ。
そのまま動けずにトワを見ているとクスリと笑う気配がし俺に白く長い腕がのびてくる。
おとなしくトワに捕まり抱きしめられていると
「でも残念、逃がさないよ?」
その言葉にゾクリとする。
「どういう…っ‼︎」
「じゃあ俺は明日かな」
「な…何が…?」
「内緒だよ。また明日、ヒナ」
その言葉に凍りつく。だから俺は彼が苦手なのだ。
そしてだから俺は逃げられないのだ。
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