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学校
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薬を飲んでも熱はなかなか治らなくて、拓斗には休めって言われたけど、俺は無理矢理学校に行った。
始まったばかりなのに、初っ端から休み続けるなんて、さすがに単位の問題とかもあるし…。
それに、最初の方は基礎とかが多いはずだから、実習に入る前にちゃんと勉強しておかないと、犬傷付けたら大変だし。
拓斗が俺と同じペットトリマー専攻だったのは幸いだ。
席隣に座ってくれるし、俺が熱あるのわかってるから気遣ってくれるし。
あからさまに気遣われるのは申し訳なさもあるし、ちょっと嫌なんだけどさ。
でも拓斗はそんなんじゃなくて、さりげない優しさっていうのかな、なんか、気付いたらしてくれてる、みたいな…。
そんなことしてくるから、余計にドキドキして、熱なんか治りそうにない。
「薫、ノート取れたか?」
授業終わりのチャイムが鳴って、拓斗が声をかけてきたけど、ぼーっとして頭に入ってこない。
いい加減、熱長引きすぎだと思うんだけど、俺ってこんなに軟弱な体だったかな。
環境が変わったせいかもしれない。突然拓斗と再会したからかもしれない。
きっと体がまだこの生活に慣れていなくて、ちょっとしたことで熱が出て、抵抗力がないんだ。
だったらなおさら、拓斗のことだけでも早く解決できたらいいのに。
俺が早く拓斗のこと好きだって、俺も好きなんだって、ずっとずっと好きだったって、言えばいいだけのことなのに。
「…悪い、俺、動けないかも……」
言うことをきかない体が恨めしい。なんか、大学入ってから人に迷惑かけてばっかりな気がする。
それでも文句ひとつ言わずに俺のこと見てくれるんだから、やっぱり拓斗は優しいんだろうな。
「ほら、掴まれよ。早く帰って寝ないと」
やっぱ、好きだなぁ……。
好きって言いたい。言えそうなのに、出てこない。口を開いても言葉が出てこないんだ…。
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