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危機
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拓斗のことをなんで好きになったのか、思い出せない。
ふわふわとする意識の中、拓斗の優しい笑顔とか、自信満々な笑顔が浮かび上がる。
余裕の笑顔がムカつくけど、あの笑顔見ると、なんかドキドキするんだよね。
やっぱり拓斗のことが好きだから、そんなふうにちょっとしたことですぐドキドキしちゃうのかな…。
拓斗と再会してからは、本当にドキドキしっぱなしだ。
行動ひとつひとつが色っぽくて、なんだかムカつく。
俺だってそれなりの美貌があって、高校の時なんて男にも女にも人気あったのに。
なんか、負けた気分だ。
「…拓斗……」
うっすらと目をあけると、目の前に誰かがいる。
俺のことを、心配そうに覗き込んでいる。
「拓斗……?」
口を動かして、何か言っているように見えるけど、意識がはっきりとしなくて、何を言っているのか全然わからない。
いつの間に帰ってきたのかな。今何時くらいなのかな。
聞きたいのに、声も出せない。
なんだろう、まだ体がちゃんと起きていないのかな…。
「…たく、と……」
意識がはっきりしていない時にこんなことしちゃだめなのに、また俺の体は、勝手に動いていた。
「…ん……っ」
軽く体を起こして腕を掴み、引き寄せて唇を重ね合わせる。
その時、ガチャリと音がして、俺の意識はふっと一気に覚醒した。
「…え……」
ドアの前には目を見開いた拓斗が立っている。
「え…、たく、と……?」
じゃあ俺は、誰にキスをしたの……?
「…っ」
「おい!保坂!!」
山木の叫び声が俺のすぐ横から聞こえてくる。
拓斗は部屋から飛び出して、どこかへ行ってしまった。
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