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寝てろ
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拓斗が出て行った部屋の中で、俺はパニックに陥っていた。
「っ、ど、どうしよう…拓斗、拓斗……っ」
「おい!落ち着けよ!」
「や、山木…!お、俺……」
そうだ、俺、拓斗だと思って、山木にキスしちゃったんだ。
それでそこに丁度拓斗が来ちゃって、それを見て……。
どうしよう、俺から山木にキスしたのに、それ見られちゃったんだ。
「城田、お前は寝てろ」
「でも!」
「いいから!」
立ち上がろうとすると、肩を強く押され、いともたやすくベッドに倒れ込んでしまった。
「熱悪化されても困るし、今その状態じゃそんなに歩けないだろ。だから寝て、まずは体治すことだけ考えろ」
山木の言っていることはわかる。わかるけど、拓斗に誤解されたままじゃ嫌だ…。
怒ってるかもしれないし、俺のこと、嫌いになったかも……。
「…大丈夫だって。俺がちゃんと説明しとくから」
「山木……」
「お前が熱あることも、朦朧としてたことも、あいつはわかってるだろ?ただ現場見ちゃったらそりゃショックってだけで、誤解はしてないよ」
あれ…?なんか山木、俺らのことわかってる感じ?
なんか、これじゃあ拓斗が俺のこと好きって知ってるみたいに聞こえる。
「山木、俺と拓斗のこと…」
「あー、見てればわかるし、保坂に言われたこともあるし。っていうかなんで付き合わないわけ?両想いなんだろ?」
「…っ」
両想い。その言葉はものすごく、俺の胸に深く突き刺さった。
そうだよ、両想いなのに…。やっぱり俺、好きって言わなきゃ……。
「まあいいや。いろいろあるだろうし。そんじゃ、俺は保坂んとこ行ってくるから、お前は寝てろよ」
「…ありがとう、山木」
あんまり詮索してこない、そんなところが山木の優しさなんだろうか。
なんにしても、いい友達を持ったなと、心からそう思った。
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