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輪廻の先でもまた愛そう。Ⅱ
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登校すると、まず最初にクラスメイトの女子に睨み付けられた。
オレはいつものことなのでその視線をかわし、席に座る。
あいつ―――如月モモに、オレは徹底的に嫌われている。
入学当初、クラスメイトである如月に、同じ苗字であることから興味を持ち、こう話しかけたのだ。
『初めまして』
そう言った時、彼女が泣きそうな表情をしたのは、今でも忘れられない。
以来、彼女はオレを見る度に泣きそうな顔で睨みつけてくるのだ。…泣くほどオレが嫌かよ。
そして、学校でちょっとしたアイドル的立ち位置である如月に嫌われたオレへの女子の評価は結構悪い。学校で女友達はアヤノとキド以外にいない。
「おはようございます、シンタローさん!」
どっぷりと思考に浸かっていると、オレに爽やかなイケボが話しかけてきた。
「ああ……セトか」
セト―――瀬戸幸助は、何故か高校に入学して初めて会った時以来、妙に絡んでくる不思議な奴である。
それは、セトといつも行動を共にしているキドや、保健教諭の小桜先生なども同じなのだが。
「今日は遅かったっすね、ギリギリセーフっすけど」
「寝坊しちまってな……」
お陰でまだ眠気が吹っ切れていない。
くぁっと欠伸をするが、やはり頭は覚醒とは程遠い。
「そうっすか…所で、今日は転校生がくるそうなんすよ!キドに転校生の名前を調べてもらったんすけど―――名前は『鹿野修哉』だそうっす!」
目をキラキラと輝かせてそう告げるセト。
「……ふぅん」
「えっ、ふぅんって、それだけっすか?」
セトは、何故かあり得ないといった表情をする。
「それ以外何があるんだよ」
「え、あ……そう、っすね」
セトは複雑そうな顔をしながら自分の席に着席した。ちなみに何故か隣の席である。
その時、ガラリと戸が開いて担任教師が入ってきた。
「おーい、皆席につけー」
先生の声にクラスメイト達が席につく。後ろの席であるキドも戻ってきた。
「今日は転校生を紹介する」
すると、生徒に期待させる間もなく教室に一人の青年が入ってきた。
スキップでもしそうな軽い足取りで入って来い青年は、薄い色素の髪と猫目が特徴的。
「鹿野修哉です、カノって呼んでね、よろしく!」
何というかその………イケメンだった。爆ぜてしまえ。
しん……と静まり返っていた教室が、鹿野のフレンドリーな言葉に一気に騒がしくなった。
矢つぎに浴びせられる質問に、鹿野は笑顔で対応していた。
先生はそれを宥めるように教卓を叩く。
「静かに!…それで、鹿野の席だが…」
先生のお決まりの台詞に、女子達がギラリと肉食動物のように目を輝かせた。怖い。
「はいはい!あたしの隣で!」
「私の隣空いてます!」
「こっちに来てよ、カノ君!」
黄色い声が上がる中、今までとは違う男性の声が響いた。
「俺はシンタローさんの隣が良いと思うっす!」
「お、オレっ?」
何を言っているんだこいつは。馬鹿なのか、頭が筋肉なのか。
誰が好きこのんで、可愛い女の子がいるのにオレなんかの隣になるのだろう。
「あ、じゃあ僕、そこの男の子の隣で!」
マジか。
鹿野の隣の席を狙っていた女子達に一斉に睨まれる。そしてセトとキドと…何故か如月も満足気な表情。解せぬ。
「じゃあ隣は如月で。如月は後で鹿野の学校案内をするように」
何故だ。かったるい、サボりたい。
「じゃあよろしくね、シンタロー君!」
「何でオレの名前知ってるんだよ、鹿野」
「やだなあ、カノって呼んでって言ったじゃん」
「鹿野とカノって何がちげぇんだよ」
「イントネーションが違うよ~」
二人して騒いでいると、先生がこほんっと咳払いをした。
「……授業始めるぞ」
「…あ、はい」
「すみませ~ん」
何故だろう。初対面の筈なのに、こいつと喋るとよく舌が回る。コミュ障も身を潜めているし、それに…
初めて会った気がしないんだ。
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