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輪廻の先でもまた愛そう。Ⅲ
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放課後。オレは隣で女子達に群がられているカノに声をかけた。
「おいカノ。学校案内はその子達にしてもらえ」
「えっ、ちょ、待ってよ!僕はシンタロー君に案内して欲しいの!」
カノの言葉に、女子達がオレを睨む。そして一部の女子達は黄色い歓声を上げる。勘弁してくれ。
「じゃあシンタローさん、カノ、行ってらっしゃいっす!」
「うん、行ってくるね!」
セトに見送られ、オレとカノは教室を出て行った。
「じゃあ、よろしくね」
「ああ。……ところでさ、お前ってセトやキドの知り合いか?」
「え?何で?」
「妙に仲良いじゃねぇか」
セトなんか、キドと小桜先生以外に呼び捨てしているのは初めて聞いた。オレだってさん付けなのに。
「あ~、まあ、ね………波長が合う、とでも言うのかな?」
言葉を濁すカノ。何か隠しているようだ。
「それはシンタロー君も同じ感じだな」
「やめろ、気持ち悪い」
「……………」
「ああっ!?悪かったよ!なっ!?」
目に見えて落ち込むカノを必死で慰める。
「……あの、カノ…ここが、保健室だ」
そうこうしているうちに最初の紹介場所に着いた。
「へぇ、ここが…」
軽くノックをしてから、ドアを開ける。
「失礼します、小桜先生。転入生の案内に来ました」
「あっ、シンタロー?い、今行くねっ」
バタバタと奥で音がする。…と、サァーッと、足元にスケッチブックが滑ってきた。
「小桜先生、落ちました…よっ!?」
スケッチブックにはカノとオレに似た男性が絡み合っているイラストが描かれていた。
もしかしなくても小桜先生は腐のつく職業の……
「し、シンタロー君っ!早く紹介してよ!」
カノは慌ててスケッチブックをオレから取り上げた。…その時、やっと小桜先生が姿を現す。
白くて長いもこもこした髪に、小さな背丈。小桜茉莉先生はこれでも成人を迎えている保険教諭である。
「先生、こちらが今日転入してきた「か、カノっ!」…何で知ってるんですか?」
オレがそう尋ねると、先生とカノはびくりと震えた。
「あっ、いや……あ、朝!そう、朝、廊下で会ったんだよね。ねぇ、マリー…じゃなくて小桜先生?」
「う、うん、そうなの、ねっ、カノ?」
二人してコクコクと頷き合っている。何を焦っているのだろう。
「そうなのか…それにしても、人見知りの多い小桜先生なのに、珍しいですね、こういうのって」
小桜先生は知らない人間がいれば必ずビクつく程の人見知りである。…まあ、オレも人のことを言えたものではないのだが。
ともかく、小桜先生が慣れている人間は、基準はよく分からないが少ない。
オレとキド、セト、如月モモ、隣のクラスでオレの親友であるアヤノ。三年のコノハ先輩、中等部のヒビヤとヒヨリ。そしてその面子に、新たにカノが加わることになる。みんな、良かれ悪かれ何故かオレと縁のある人達ばかりだ。
「う、うん、カノやみんなは、特別なの。だから…」
「だから、何ですか?」
「…敬語は、使わないで仲良くしてほしいな!」
そう言ってふにゃりとはにかむ小桜先生。
「そうそう、マリーもこう言ってるし、ね、シンタロー君?」
「マリー?そういえばセトもそう言ってたが…」
「小桜先生のニックネームだよ」
マリー、ねぇ…。というか、どうしてみんな、こう馴れ合えるのだろうか。
思えば、エネと出会った時や、中学時代からの親友であるアヤノに出会った時もそうだった。
二人共、口を開いた瞬間、「ご主人!」「シンタロー君!」と、まるで昔からの友人に会ったかのように話しかけてきた。
不思議なものだ。もしかして、前世に縁があったりして。
…まさか、な。そんな突飛な話、あり得ない。
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