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輪廻の先でもまた愛そう。Ⅳ
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小桜先生…改め、マリー先生の保健室を出たオレ達は、特別棟に向かっていた。
「特別棟には、音楽室や被服室とかがある」
「へぇ~。どっちもシンタロー君は苦手そうだね」
「……何で知ってるんだよ」
「だってシンタロー君が得意なの、勉強だけでしょ?」
ニヤニヤと笑いながらオレの長所&短所を暴露するカノ。
「だから何で知ってるんだよっ!」
思わずそう叫んだその時、
ドンッ
誰かにぶつかってしまった。
「え、あ…すみませ、」
言い終える前に凍りついてしまう。
目の前にいたのは他でもない、オレを嫌っている人物、如月モモだった。
如月は、オレを見て何か言いかけたが、黙って睨んできた。
「………悪い」
「…別に」
ぎくしゃくした空気はカノにも伝わったらしい。
「あれ?二人とも、どうしたの?」
だからなのか、そう切り出してくれた。
「な、何でもねぇよ。ほら、行くぞ」
「あ、うん。またね、キサラギちゃん」
『またね』という言葉に少し引っかかったが、まあ良いだろう。
気のせいだ、きっと。
「…シンタロー君、仲悪いの?」
「というか、向こうに嫌われてる。オレを見る度に、涙目で睨んでくるんだ」
「そりゃあまた…」
「何だよっ…!」
苦笑するカノにイライラをぶつける。如月となにかがある度に、オレはいつもどうして上手くいかないのかとストレスが溜まっていた。
「まあまあ、そう機嫌を損ねないで、案内してよ」
「……ったよ」
オレがまず開いたのは、理科準備室の扉。
「失礼します。…先生、アヤノ、コノハ、いるか?」
「あ、シンタロー」
「よう、いるぞ」
「シンタロー君、やっほー!」
「私もいますよ!」
オレ達を出迎えてくれたのは、ここ、理科準備室でいつも溜まっている連中。
楯山先生、その娘でオレの親友であるアヤノ。三年のコノハに…何故かいつも学校に来ているエネ。
「転入生の案内をしてる。こいつが今日転入してきた鹿野修哉だ」
「初めまして、なのかな?よろしくね!」
カノがそう挨拶すると、しんと準備室が静まり返る。教室でもあったな、これ。
そして次の瞬間、アヤノが歓声を上げてカノに飛び付いた。
「修哉君っ!初めまして、アヤノだよ…っ!」
「うん、初めまして…"アヤノちゃん"」
カノがアヤノの名前を呼ぶのを躊躇ったように聞こえたが、気のせいだろう。
その後、アヤノが堰を切ったように泣き出したため、ちょっとしたパニックになったのだが…
とても、幸せな時間に思えた。
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