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君がためおしからざりし…5=SIDE H=
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目の前で、あれだけ焦がれた相手が、悩ましい姿でオレの腕の中にいる。
もう、それだけで充分なくらいだ。意地を張るだけ時間の無駄だ。だって、オレはずっとずっと彼しか好きではなかった。自分はどうやったって誤魔化せない。
動きを止めたオレを不安そうに、ちょっとだけ上からオレの顔を見下ろしてくる。
「イジワルして、ごめんなさい。そんな顔しないで大丈夫ですよ」
強がりなのに、寂しがり屋で弱いくせにプライドは高い。それなのに、オレのためにこんなに折れてくれている。
余計にわけがわからないと戸惑う彼のことが、オレは心底忘れられなかったのだ。
「セイ、ハ?なんか、ダメだった?」
つけあがらせるような言葉を容易くはいてくる。
そんなの毒なだけなのに。
今にも泣き出しそうな顔をみせられて、たまらなくなってくる。だけど、ここで我慢しないと、ちゃんとしなくちゃ、きっとオレたちの関係は、これまで以上にいびつなものになってくるしまう。
取り戻すなら。
もし、取り戻せるなら、オレは完全なものが欲しい。
「成春さん、駄目じゃないです。駄目なのは、僕の方です」
抱きしめる腕に力をこめて、背中をなでながら少し汚れた身体をタオルハンカチでぬぐって、服を着せる。
「もう、俺、じゃ、駄目ってことか?」
勘違いしたのか、抱きしめた身体が微かに震えている。
「違いますよ。少し話をしましょう」
オレは、抱いた身体を離さずに、そのままゆっくり部屋の中へと誘導した。
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