アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
君がためおしからざりし…6=SIDE S=
-
俺の身体を抱く西覇の体温は高く温かいのに、俺の心は急速に冷えきっていった。
頭では分かっている。
西覇がこんなことで許してはくれないことなど。
中途半端に熱をもった身体が震えて仕方がない。
期待、してた。
欲しいと伝えたら、あの時のように抱いてくれると。
浅はかすぎんだろ、俺は。
「話がしたい。」
ひどく優しくも聞こえる。
駄目なら駄目とすぐにいってくれりゃ、いい。
分かって、る。
メゲるのはお門違いだから、何を言われてもされても構わないのに。
どうして、こんなに落胆しているんだろう。
「西、セイ、ハ」
「そんな顔しないで、成春さん。僕はちゃんと、したいだけだから」
俺の顔を覗き込むと、眉を上げてリビングへと背中を押して向かう。
女々しすぎんだろ。
大丈夫。
そんな、期待してなんか、なかった。
頭の中で最悪な別れまでシュミレートしておく。
損傷が激しくならないように。
西覇は、俺をソファーに座らせて横に自分も座る。
「10年前、退院するとメールしたのに、返事もなくて。退院してきたら、貴方の姿は学校にはなかった。僕は、親父がヤクザだし、僕と一緒にいたら、貴方も危険だというのは考えていた」
西覇は俺の手をとり、ゆっくりと話し出した。
俺を責めるでもない目でじっと見据える。
「セイハに話したら、きっと決心が鈍ると思った」
「僕も貴方に会って、きちんと説明して貰おうと四国に行こうともしたんです。たどり着けなかったけれど」
俺の手を握る西覇の手の平は暖かい。
「だけど、どこかでオレから逃げた貴方を恨んで詰りたいとも思ってた。オレ、器はちいせーんだよ」
ぽつりと鼻先で笑って呟いた言葉は本心。
本心を告げる時、西覇は言葉遣いが悪くなる。
「だけど、こうやって再会しちまったら、貴方を責めるとか恨むとかそんな気持ちより、もっと、もっと、貴方と一緒にいたいと考えてしまうようになってきてる」
静かに告げると、ギュッと指が食い込むような強さで手を握られる。
二度と離すかという強さに、俺は強く握り返した。
「セイハ、、、」
「このまま、何も言わずに貴方を抱いたら、違うと思ったから途中でやめたんだ」
西覇は、メガネを外して俺を射るような目でじっと見返した。
「成春さん、オレは貴方を忘れられない。今でも好きです。オレとずっとこれから一緒に生きてくれる覚悟ありますか」
静かな問いかけは、まるでプロポーズのように聞こえた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
17 / 23