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あやめもしらぬこいもするかな =SIDE S=
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西覇に身体を拭かれて後処理をされながら、俺は頭まで痺れてぼんやりとしていた。これが現実なのか夢の続きなのかすらはっきりしていなかった。
自分から別れを選んだくせに、許してなんて虫のいい言い草を西覇はのんでくれたのだ。
「成春さん、ちょっと無理させすぎましたか?」
メガネの奥の真実を知りたくて、俺は西覇のメガネに手を伸ばして奪う。
いまでもしている伊達メガネ。
「せいは、ありがと」
かすれ切った声しかでない。
このままおっちんでも構わないくらい、心も身体も充実していた。
食事だけでも、と、誘ってよかった。
涙が次々溢れてくる。
つか、簡単にぼろぼろ泣くんじゃねーよ、俺。
ホント、情けねーよ。
俺は、いつからこんなに弱っちくなっちまったかな。
「逃げられることばかり考えるのはやめただけです。もう、逃がしません。馬鹿ですよね、折角、オレみたいなのから離れられたのに。自分から捕まりにくるなんて」
困ったような顔で言われて、俺は腕を伸ばして西覇の頭の裏へ手を添えてくちびるを寄せる。
信用はされてないのがひしひしと分かる。
舌を伸ばして、西覇の口内をさぐる。
逃がしたくないのは、俺の方だ。
失いたくなくて、選んだ別れだけど、一緒にいなきゃ意味がねーことが分かってなかった。
押し込んだ舌をチュッチュと吸われて、頭が痺れてくる。
「感じやすいですね。心配になって仕方がない。このまま貴方を閉じ込められたらいいのに」
唇を離され、探してきたのか部屋着のスエットを着替えさせられる。
「逃げ、ねーよ」
「もう逃がしませんから、大丈夫ですよ。夕飯、僕が作るんで、そこで待っててくださいね」
にこりと笑い、俺のほおにチュッとくちびるを当てる。
「俺が作ろうと思ったのに、悪ィ」
「立てないでしょ?いいから、休んでてください。それと………」
俺から離れて、西覇はクルッとキッチンへ向かいながら、付け足すように言った。
「オレも、アンタがずっと好きでしたよ」
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