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冷凍コーナーのグリンティさん
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人間はレジを通って、袋の中にぼくら食品を詰め始めた。
「ひえっ!ちべたい!なにこれ!」
ぼくは逆さまになって袋へ入って行く。そこで物凄ーーくヒヤっこいものに押し付けられて、思わず声を上げてしまう。
「貴様ッ!若に向かってなんだその口のきき方はッッ!今すぐそこをどけ無礼者め!!」
「!?」
袋の底の方から怒声が飛んできて、ぼくは思わず目を丸くした。すると僕が押し付けられていたヒヤっこい『若』がクツクツと震えだしたのだ。
「こらこら。お前が噛みつきそうな勢いで言うものだから、この子がすっかり驚いているよ」
風がそよぐような穏やかな声。
今ぼくが密着しているのは、一体どんな食品だろう?興味が湧いて、どうにか上体をずらして見上げてみる……。
「やあ、こんにちは。わたしは冷凍コーナー出身のアイスクリーム……グリンティだよ」
「あ…ど、どうも、よろしくおねがいします!って、こんな体勢でアレですけど……」
グリンティさんは声から想像する通りの、穏やかで上品そうな姿をしていた。きっと高い食品なんだなあと一目でわかる。
「ふふ、気にしないで。 ところで君は見たところ精肉コーナー出身みたいだね?」
「そ、そうです!合挽き肉のミンチといいます」
「ミンチくんか。チルド食品のお目にかかるのは初めてだ、君は温かいね」
「……れ、冷凍コーナーに比べればきっと全員が温かいですよ」
「ハハハ、そうか、それもそうだ。いや失礼したね」
彼が笑うたびに、上品な声と冷たい身体がぼくをくすぐった。それはとても心地よくて不思議な感覚だった。
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