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009
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佐々岡大樹とその家族が消息を絶ってから、二ヶ月が過ぎようとしていた。
いつまで経っても進展はなく、これといった情報はない。
和眞は警察に任せろと言っていたが、飛香は自分で情報を集めることにした。
捜索願を出したという遠縁の親戚を訪ねたり、大樹の職場に話を聞きに行った。
それでも、明確な手がかりは何一つ見つからなかった。
「大樹……一体あの夜何があったんだよ…」
大樹の家を見上げて呆然呟くと、飛香は玄関横の植木鉢の辺りを見遣った。
聞き込みでは限界がある。
ならば残るは現場検証しかない。
それが行き詰まった飛香の出した結論だった。
時間が経っているため野次馬などはおらず、玄関先には簡単に侵入できた。
問題はその後だ。
「やっぱ開いてない、よな…」
確認のため扉口に触れてみるが、鍵がされていて開く気配はない。
横にスライドするタイプの扉だったため、靄のかかったガラス越しに中を覗いてみる。
当たり前だが人の気配はなく、飛香はもう一度植木鉢に視線を移した。
以前、家族が不在で鍵のかかった家に入るために大樹が植木鉢の辺りからスペアキーを取り出してきたことを思い出す。
「確かこの辺に……あった!」
二つ目の植木鉢の下から土で汚れた鍵を手にすると、飛香は周りを確認してからそっと鍵穴に差し込んだ。
仕方ないとはいえ、無断で侵入することに抵抗がないわけではない。
誰もいないと知りながらも、おじゃましますとだけ言って飛香は家の中に身体を滑り込ませた。
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