アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
014
-
シキとは、ある細胞を体内に取り込んだ人間が変異した成れの果てだ。
肌は赤黒く変色し、爪や牙は鋭く成長する。
一度感染した者は元に戻ることはできず、何れ息を引き取り血肉を求める化け物として蘇る。
それがシキだ。
「ハオ、あれは違うよな?」
「…そのようですね。依頼主の娘は金髪ですから」
二人の前に現れたのは背の高い黒髪のシキだった。
探しているシキと違うことを確認すると、ウィルは何の躊躇いもなく引き金を引いた。
パンッという音と共にシキの頭が廃墟の壁に飛び散り、崩れた身体は地面に倒れ込む。
頭を失ってもピクピクと痙攣するシキを見て、ウィルは心底嫌そうに顔を歪めた。
「うぇ。こいつまだ動いてんだけど」
「そのうち動かなくなりますよ。急所吹っ飛ばしたんですから」
「毎回思うんだけど、この臭いどうにかなんないのかよ。鼻が曲がりそうだ…」
「嫌ならティッシュでも詰めたらいいんじゃないですか」
「それって絵面的にどうなんだ?間抜けすぎだろ…仮にもzerolの一員がさ」
ウィルが拗ねたように唇を尖らせれば、ハオは冷めた目で一瞥を投げた。
zerolとは二人が所属する組織の名称だった。
相応の金額に応じて依頼を受け、シキを退治する事を生業としている。
この世界で唯一とも言えるシキハンターだ。
「シキが徘徊するような地域なら見られる心配はないんじゃないですか。生きている人間には」
「ん……いや、」
すん、と空気を吸い込んだウィルは首を振った。
「生きてる人間、いるみたいだぞ。血のニオイがする……」
異臭に混じった血の匂いを嗅ぎ分けたウィルは、ハオに判断を煽った。
引き受けた依頼の内容に生者を救うことは含まれていない。
ハオは暫く黙り込むと、何かを思い付いたのかふっと喉の奥で笑った。
「まだ新しいですね…。もしかしたら、まだ生きてる可能性があるかもしれません」
「どうするんだよ。ここから結構近いみたいだけど」
「…依頼とは関係ないですが、少し気になります。様子を見てみましょう」
極めて冷静にそう言い放つと、ハオは微かな血の香りを辿って足を進めた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
16 / 74