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「おい、ナギ!そいつはオレが先に見つけたんだからな!」
「チッ、ウルサイのが来やがった」
「聞こえてんぞコラ」
部屋に現れた少年は口からガムを吐き出すと、飛香を庇うように前に立ち塞がった。
ナギと呼ばれた赤髪の男を威嚇すると、次は金髪の男に視線を移す。
「サワ、見とけって言っただろ?ナギやユーリスに持ってかれたら帰って来ないんだからさ」
「ちゃんと見てたけど」
「いや、オレが言いたかったのはそういうんじゃなくて……。ああ、もういい!」
少年ーーーウィルは惚けた返事をする金髪の男ーーーサワに頭を抱えるが、気を取り直したように棒付きキャンディを投げつけた。
「これ約束の報酬な」
「一個だけ?」
「未遂とはいえ危ないとこだったろ。そんな仕事内容で三つも要求すんな」
「えー」
キャンディを受け取ったサワは拗ねたように唇を尖らせたが、ウィルはふいっと顔を反らしてそこで会話は終了した。
どうやらサワはウィルに飛香を見張るように言われてたらしい。
話についていけずに呆気にとられていると、ウィルに続いて長身の男が部屋に入ってきた。
黒いコートに身を包んだ糸目の男は、ある一点を見つめて不機嫌そうに顔を歪める。
「ウィル。そこら辺にガムを吐くのは止めてください。踏んだら面倒です」
踏んだことがあるのか嫌そうにするハオを気にするでもなく、ウィルは飛香を振り返った。
今まで蚊帳の外だった飛香の存在に一気に注目が集まる。
見知らぬ男達に見つめられ、飛香は居心地の悪さを感じた。
そして、ある違和感に気が付く。
飛香を取り囲む彼らの瞳が同じ色をしていたからだ。
血のように鮮やかなその色にぞくっと背筋が震える。
その瞬間、走馬灯のように甦る記憶。
飛香はヒュッと喉を引きつらせた。
「おーい。大丈夫か?放心してるけど、気分はどうだ?」
「…っ、何なんだよ。どうなってんだ!?俺…ッ!」
「あらら。すっげぇ混乱してるみたいだな。何か思い出した?」
「化け物に襲われて、それで…っ」
「まぁとにかく落ち着けって。もうここにシキはいないからさ」
「し、き…?あの化け物を知ってるのかっ?」
化け物の名称らしきものを口にしたウィルを見上げ、飛香は恐る恐る尋ねた。
一度思い出せば自然と身体が震えてくる。
だがそんな飛香の発言に周りの男達は顔を見合わせ、信じられないとでもいうように目を丸くした。
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