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「まさか、異端者?」
「は?いたん…?」
「なるほど。あんな辺境の土地に何故人間がいたのか、これで納得しました」
聞きなれない単語に首を傾げていると、ハオが懐から何かを取り出した。
鈍く光るそれに血の気が引いていく。
「なーーーッ、……?!」
「静かに。喚くと手元が狂いますよ」
一瞬で間合いを詰められ、背後から首筋にあてがわれた冷たい感触に息を飲む。
視界の端に映ったのは、殺傷能力の高い大型のナイフだった。
恐怖のあまり言葉を失っていると、ハオが空いている手を使い飛香の唇に人差し指を押し当てた。
「シィ。大人しくした方が身のためですよ。そうすれば解放してあげますから。わかりましたか?」
「……っ」
ハオの有無を言わせない態度に気圧され、飛香は素直に頷く事しかできなかった。
これは、言う通りにしなければナイフで喉を切り裂くという明確な脅しだ。
(何なんだよコイツ…!!)
ハオの動きに躊躇いがないのを感じ、全身から嫌な汗が噴き出す。
黙り込んだ飛香に満足したのか、ハオは糸目を更に細めて微笑んだ。
すると、飛香を縛っていた縄が解かれる。
「え……」
意外にも呆気なく自由になった手足に飛香は目を丸くした。
縛られていた手首を庇いながら恐る恐るハオを見上げる。
ハオは無表情を決め込んでいて、その真意は読み取れなかった。
「いいのかよ、ハオ。まだ検査結果出てないんだけど」
「この様子だと感染はしていないと思いますよ。それに、少しでも片鱗を見せるようなら殺してしまえばいいだけの話です」
「それはそうだけどさぁ。逃げたらどうするんだよ」
「愚問ですね。普通の人間がこの邸から逃げ出せるわけがない」
「まあ、確かに…」
「は…?ちょ、」
ぐいっと目前まで迫ったウィルの顔に息を飲む。
フードから覗く髪は真っ白で、宝石みたいに大きな瞳がこぼれ落ちそうなほど見開かれている。
一見女の子と見間違えてしまい、飛香は焦った。
「へえ、これが異端者か。普通の人間と変わらないんだな…。あんた、名前は?」
「……七海飛香、だけど」
「ふぅん。じゃあ、アスカって呼んでいい?オレはウィル。これからよろしく」
「あ、ああ…」
ウィルの勢いに押された飛香は差し出された手を握り返した。
とりあえずどう見ても年下の相手に怒鳴る気にはなれず、説明を求める相手を探して視線を彷徨わせる。
何で縛られていたのか。
ここは何処で、彼らは何者なのか。
知りたい事は山ほどあった。
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