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「それで、そこの異端者くん。これからどうするの?」
赤ワインをグラスに注ぎながら、ユーリスがちらりと視線を送ってくる。
(どうするって言われてもな……)
突然話を振られ、飛香は返答に困った。
何しろ、この状況を全くと言っていいほど理解していないからだ。
大樹を探している途中でシキに襲われ、突然知らない場所に瞬間移動して、目が覚めたらここにいた。
異世界だから帰れないと言われ、頭の中は混乱中だった。
「……家に、帰ります」
「無理だよ。話聞いてなかった?」
「そんなの信じられるわけないだろ!突然、ここは異世界で帰れないなんて言われても……」
言ってからハッとして、飛香は言葉を飲み込んだ。
異世界。
帰れない。
その二つの言葉が頭の中を飛び交う。
何かが引っかかっていた。
「じゃあ、実際に見てみたらいいよ」
「え…」
明るい声色に顔を上げる。
目が合ったユーリスは、妖艶に微笑んだ。
「嫌でもここが君の知っている世界じゃないって思い知るはずだから」
「ちょっと待て!なに勝手に決めてんだよ。こいつ何も知らねーのに、死亡フラグMAXじゃん」
ウィルはユーリスの提案には反対のようで、拗ねたように口を尖らせている。
まるでお気に入りのオモチャを横取りされた子どものようだった。
「一人で行かせるなんて言ってないってば。どうやら白の世界(ヴァイス)にシキはいないようだし?塀の外をほんのちょっと覗いてもらうだけだよ」
「塀の外…?」
「そう。この世界の本当の姿。それを見れば、君も納得すると思うんだよね」
「……………」
俺がこの世界を見せてあげるよ。
そう言って、ユーリスは女なら誰でも堕ちてしまいそうな満面の笑みを見せた。
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