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「働かざるもの食うべからず、ってな。うちは慈善事業じゃないんだ。ここにいる限りは、働いてもらうぞ」
「……いいんですか?俺がいると、迷惑かけるんじゃ…」
「気にするな。うちにはもっと厄介な問題児たちがいるんだ」
「!……ヴァンパイア」
飛香が嫌そうに呟くと、イヴァンは喉の奥でくっくっと笑った。
イヴァンの世話になると言うことは、ヴァンパイアと同じ屋根の下で過ごさなければならないということだ。
(でも、選択肢はないか……)
少し考えたが背に腹は変えられず、飛香はイヴァンの提案を受け入れる事にした。
飲食住は保証されるし、何よりきちんと働けば給金が手に入る。
行く当てのない飛香にとっては願ってもない申し出だった。
「それじゃあ、今日からここがお前の部屋だ。邸の中は自由に出歩いていいが、あいつらの部屋には入るなよ。特に、ハオは後が恐いぞ」
「気をつけます…。でも、あの……」
「ん?」
「……大丈夫なんですか?俺、噛まれたんだけど」
無意識に首筋を摩ると、イヴァンは誤魔化すように豪快に笑った。
「さあな。一応忠告はしてあるが、聞くような連中じゃねえしなぁ」
「……!」
「まぁ、大丈夫だ。国が決めた法律で、人間を殺したヴァンパイアは処刑されることになってる。下手に手出しはできねえさ」
「え…?法律?」
意外な言葉に目を丸くしていると、ノエルが疑問に答えてくれる。
「本来、ヴァンパイアはシキと同様に討伐されるはずの存在なのだよ。だけど、国に認可されたヴァンパイアは除外される。それがzerolなのだよ」
「シキの討伐を理由に、自由が許されているってわけだ。まだまだ風当たりは厳しいがな」
「そうなんだ…….」
意外な事実に面食らっていると、イヴァンが意地の悪い笑みを浮かべた。
「安心しろ。何度噛まれようがヴァンパイアになったりしねえよ」
「……噛まれる事を前提にしないでください」
「そうなのだよ。アスカくんはそれで倒れたというのに、不謹慎なのだよ」
「まぁ、あれはやりすぎだが、別にいいじゃねえか、血の一滴や二滴。あいつらにも、血が欲しいなら俺のを分けてやるって言ってるんだがな」
「血の気の多い君とアスカくんを一緒にしないでおくれ」
不思議そうにするイヴァンに、ノエルが頬を膨らませて一喝した。
その様子に少しだけヴァンパイアの気持ちを察する。
自分より体格のいい筋肉マッチョに噛み付きたくない気持ちもわかる気はするが。
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