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異世界にやってきて二日目の朝。
見知らぬ土地での不安と緊張からか、飛香は浅い眠りを繰り返して朝を迎えた。
(全然、寝れなかった……)
薄い毛布から顔を出すと、焦げ茶色の天井を見て盛大なため息を吐く。
瞼が重く、目の下には隈でもできていそうだった。
疲れは全くとれていない。
今日から始まる異色の生活に不安だけが募っていく。
「…………はぁ」
思わず漏れてしまった溜め息に飛香は苦笑した。
掃除に洗濯、損傷した箇所の修理。
そんな事を考えていると自分の置かれている状況を忘れそうになる。
空腹を感じた飛香はベッドから這い出ると、食料を求めて部屋を出た。
暫く歩いて昨日の大広間に辿り着くと、広いソファの上に柔らかそうな金髪を見つけてドキッとする。
隅っこで背を丸めて怠そうに三角座りをしているのは、大人しそうなヴァンパイアーーーサワだった。
いきなりの遭遇にぐっと息が詰まる。
ナギの影響でヴァンパイアに良い印象を持っていない飛香は、朝から気落ちすることになった。
大広間を抜けた先にキッチンがあるため、どうしてもサワの視界を横切る事になる。
気乗りしないが無視するわけにもいかず、飛香は控えめに声をかけた。
「よぉ……」
「……………」
飛香が声をかけると、サワは眠そうに目を擦りながら欠伸をした。
そして一度だけ飛香を視界に入れると、また何も言わずに突っ伏してしまう。
(無視かよ)
それならそれで都合がいいと、飛香は差ほど気にすることもなくそのままキッチンに向かった。
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