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(餌付けしたら懐かれた……)
ついてくるのでソファに座ると、サワも隣に腰掛けてくる。
そわそわしながら徐々に距離を詰めてくるのを黙って見守っていると、飛香の腕に背中をぴったりとくっつけたら満足したらしい。
そのまま机に置いてあったフレンチトーストを頬張り始めたのを見て、飛香の頭に疑問符が浮かんだ。
(何なんだ、この妙な状況……)
警戒するべき相手の無防備な姿に飛香は拍子抜けした。
昨日の様子だと、もっと危険な存在かと思っていたが、そうでもなかったらしい。
想像していたよりもずっと和やかな雰囲気に飛香が困り果てていると、大広間の扉が開いてユーリスが姿を現した。
第二のヴァンパイアの登場に飛香の顔が引き攣る。
その後に続いて入ってきたウィルは、飛香とサワの存在に気付くと妙なものを見るような目で首を傾げた。
「へえ、珍しい組み合わせ。つーか、何でそんなに近いの?」
「……さあ」
「サワが人間を側に置いてるなんて驚きだな。興味ない奴は存在すら無視するのに」
「ああ…」
最初の反応を思い出し、飛香は静かに納得した。
態度の違いを考えると、フレンチトーストで格上げされたということだろう。
極端すぎる。
「随分懐かれたもんだね。いつの間に仲良くなったのかな?」
「俺はただ、昼飯分けてやっただけで…」
「甘い匂いがすると思ったら、それアスカが作ったの?」
「まぁ…」
「…ふぅん?」
向かいのソファに腰掛けたユーリスは、口数の少ない飛香を見て、何かに気付いたように喉を鳴らした。
「そんなに警戒しなくても、いきなり襲ったりしないよ?ナギみたいに懲罰房行きは遠慮したいからね」
「だよなー。せっかく隷属にしようと思って連れて来たのに、計画が台無しだよ」
「隷属…?」
「ヴァンパイアに血を与える人間の事」
「!?」
あっけらかんと答えたウィルの言葉に、飛香は頬を引き攣らせた。
何のために自分が拾われたのかやっと実感する。
すると、ウィルは両手を挙げて首を竦めた。
「ああ、心配しなくても無理に血を吸おうなんて思ってないから。イヴァンに絞られるのヤダし。だからオレとしては、アスカも同意の上で隷属になってほしいなーって」
「そ、そんなの無理に決まってるだろ…!!」
「もちろん、それなりの対価は用意するぜ?例えば……探し人の情報、とか」
「え…」
不意の言葉に顔を上げる。
目が合うと、ウィルはニッと口の端を吊り上げた。
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