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「確か、誰か探してるんだよな」
「なんで、それを」
「イヴァンから聞いた。俺たちも探すの手伝ってやるよ。その代わり……」
舌舐めずりするウィルの意図に気付いた飛香は、ぐっと言葉を詰まらせた。
つまり、大樹を探す手伝いをする代わりに、血をよこせと言っているのだ。
「別に死ぬワケじゃねーんだしさ。ちょっと血を減らすだけでオトモダチを見つけられるんだ。悪い話じゃないと思うけど?」
ウィルににじり寄られ、飛香は額に汗を滲ませた。
確かに、人手はいくらあっても足りないくらいだが、このまま信用していいのかと不安になる。
ただの献血と思えば我慢もできるが、すぐに返事をするにはまだまだ情報が足りなかった。
「何か不満なことでもあるの?」
返事を渋っていた飛香に痺れを切らしたユーリスが、やれやれと肩を竦める。
「せっかくzerolのメンバーが総出で手伝うって言ってるんだよ。断るのは得策じゃないと思うけどなあ」
「え…?総出?」
「独り占めしたいのは山々なんだけど、みんな譲らなくてさ。だからアスカの手伝いをするのは全員でって事になったんだ」
「ぜ、全員!?」
「みんな君の血に興味があるらしい。実はもう、日替わりの当番も決めてあるんだよね」
「はあ!?ふ、ふざけんなッ!!さっきから俺公認みたいに言ってるけど、俺は一滴たりともお前らに血をやるつもりはねえよ!!」
焦って声を荒げると、ユーリスとウィルは顔を見合わせた。
「別に俺はそれでもいいんだけど、困るのは君の方だと思うよ?」
「そうそう。この広い世界でどうやってたった一人を探し出すつもりだよ」
「……っ」
土地勘もなく、知識も薄い飛香が一人で大樹を探し出すのは難しいだろう。
飛香が一人で頑張ったところで、大樹が無事に見つかる保証はどこにもない。
それをわかった上での条件に、飛香は唇を噛み締めた。
「本当に手伝ってくれるのか…?」
怪訝そうにそう言えば、ユーリスは「もちろん」と答えた。
「君が大人しくこの紙にサインするなら、ね」
「何、それ」
「俺たちに血を分け与えますって契約書。これを見せればイヴァンも納得するだろ?」
「……読めねえんだけど」
「大丈夫。適当に名前書いてくれたらそれでいいから」
躊躇する飛香に、ユーリスは女なら誰でもうっとりしてしまいそうな笑顔で契約書を差し出した。
「で、どうする?サインするの、しないの?」
「…………………」
大樹のためを想うなら、これが一番の近道だろう。
飛香は暫く考えた後、苦虫を噛み潰したような顔で渋々了承した。
こうして飛香は、日替わりで五人のヴァンパイアの餌になることを決めたのだった。
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