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「おっどろいたー。サワってまじでアスカのこと気に入ったんだな」
「俺も結構気に入ってるよ?ナギも珍しく執着してたし、ますます味見したくなった」
サワの腕をズラして束縛から抜け出した飛香は、ほくそ笑むユーリスに寒気を覚えた。
たまに見え隠れする牙にドキッとする。
とんでもない契約をしてしまったという自覚はあったが、色々話しているうちに空腹が限界を迎えたのだろう。
お腹が情けない音を鳴らし、飛香は力なくソファに沈んだ。
「腹減った…」
「んー、じゃあ買い出し行くか」
仕方ないと言ってウィルはズボンのポケットからグシャグシャになった紙を取り出すと、慣れた手付きで数え始める。
見たこともないそれは恐らく黒の世界(シュヴァルツ)の紙幣のようだった。
「買い出しって?」
「腹が減ったんだろ?飢え死にされても困るし、オレが付き添ってやるよ」
「…俺も行っていいのか?」
「当然だろ。来ないと何食えるかわかんねえじゃん。アスカにはちゃんと栄養とってもらわないと」
「そうそう。特に鉄分とかね」
「っお前らに言われると腹立つんだよ…!」
息ピッタリで満面の笑みを浮かべるウィルとユーリスを殴りたい衝動に駆られる。
飛香はぐっと堪えると、覚えたばかりの出口を目指して歩き出した。
「ちょっと待てってば」
「知るか、もう行く」
「いってらっしゃーい。気を付けてね」
「あれ、ユーリスは留守番?」
「うん。この後約束あるから」
意味深な笑みを浮かべたユーリスに、ウィルは「あー…」とどこか遠くを見つめた。
その反応を見る限り、ロクな用事じゃない事がわかる。
ひらひらと片手を振るユーリスを残し、飛香は黙々と廊下を進んだ。
「急ぐのは別にいいけど、オレからはぐれるなよー。迷子とかシャレになんねーし」
「誰がなるか!何歳だと思って…」
文句の一つでも言ってやろうと飛香が振り向いた時、ウィルがピタリと足を止めた。
そこで漸く後ろにいる存在に気が付く。
「サワ?」
飛香が声をかけると、サワは近くの装飾棚の隙間に隠れてしまった。
それを見たウィルは首を傾げる。
「……何。もしかして、サワも着いてくんの?」
「アスカが行くなら、行く…」
「え…マジで?」
僅かに驚きを含ませた表情でウィルは何度か瞬いた。
信じられないといった風に飛香とサワの顔を二度見する。
「…?そんなに驚くことか?」
「そりゃ驚くって。引き篭もりのサワが外に行くっつってんだから。仕事でも滅多に外出しねーのに」
「引き篭もり…?なんで」
「さあ?面倒なんだろ、色々」
「………………」
そんな理由があるか、と飛香は軽く呆れてしまった。
それから結局サワも連れて行く事になり、飛香は二度目の外を歩く事になった。
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