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どうやら思っている以上にヤバい状況らしく、舌打ちするウィルに続いて飛香も走り出す。
現場の近くで身を隠すと、絞り出すような怒声が飛香の耳に入ってきた。
「テメェ…そんなもの取り出したんだ。殺されても文句はねえよな…?」
「ひぃ…ッ」
ドスの利いた声色で凄むナギに、相手の男は持っていたナイフを取り落とした。
咄嗟の行動だったのだろう。
走り出す男の肩を捕まえたナギはそのまま男を地面に叩きつけると、大きく腕を振りかぶった。
「ナギッ!!」
「っ!?」
ドン!!と地面に拳がめり込み、土埃が舞う。
粉々になった石床が飛香の足元までひび割れていていた。
(なんつー馬鹿力…)
気絶した男の顔をすれすれに腕が突き刺さっていて、腕を引き抜いたナギはゆらりと立ち上がる。
「…ウィルか」
「今の、本気だっただろ」
「うっせえな。別に死にゃしねーよ」
「顔面粉砕されたら、普通の人間は死ぬんだよ。加減ってもんを知らないのか」
「……………」
ウィルの言葉にナギは自分の拳を見つめた。
口を開いて何かを言いかけたが、そのまま飲み込んでしまう。
そして飛香を見つけると、表情に険しさが増した。
「あーあ、派手にやっちゃって。誰が後始末すると思ってんだよ」
「これくらい問題になんねえだろ」
「人間同士の喧嘩ならな。普通の人間は地面にクレーター作ったりしねーの!ここは俺が処理しておくから、ナギはもう帰れ。また問題起こされても困る」
「…チッ、わかったよ」
不服そうにしながらも自分がしたことに少しは反省しているのだろう。
素直に踵を返したナギは、すれ違いざまに飛香を意味深に睨むと、人混みの中へと消えた。
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