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「ナギ…何やってるの?」
「…チッ」
ユーリスに肩を掴まれたナギは、不機嫌そうに舌打ちした。
腕を拘束する力が緩み、その隙に慌てて身体を起こす。
目の前で睨み合いを続ける二人を、飛香は呆然と見つめた。
「今日の当番はサワのはずだろ?言ったよね、独り占めは駄目だって。取り合いにならないために、順番まで決めたんじゃなかったっけ…?」
「知るかよ。俺はそんな約束した覚えはねえ」
「だったら、また懲罰房行きになっちゃうけど…いいの?今だって、イヴァンに黙って出てきてるんだろう?」
「………………」
ユーリスの言葉に押し黙ったナギは、もう一度舌打ちすると壁を殴って部屋を出て行った。
パラパラと零れ落ちる破片に呆気にとられていると、ユーリスがにこやかに微笑んだ。
「そう言えば、まともに自己紹介してなかったね。俺はユーリス、よろしく」
差し出された手とユーリスの顔を交互に見比べ、飛香は躊躇い気味に手を握った。
(助けてくれた…のか?)
最初はユーリスの真意が見えずに警戒していた飛香だが、思ったより話しやすい雰囲気に少しだけ緊張を解く。
ナギと比べると友好的なユーリスの態度に、飛香はほっと安堵した。
「名前ならとっくに知ってるよ。ノエルに教えてもらったし」
「そう?今更自己紹介なんて変だけど、一応ね。まずは名前を覚えてもらう事から始めようと思ってさ」
「?何のために」
「これから同じ屋根の下で暮らすんだ。仲良くしたいだろ?」
意外とまともな事を言われ、飛香はきょとんと目を丸くした。
にこにこと微笑むユーリスに何と返していいのかわからず、居心地の悪さを感じて話題を探してみる。
すると、ユーリスが顔を覗き込んできた。
「ナギに噛まれたところ、痛くない?」
「や、そんなには…」
不意に包帯の上から傷の辺りをそっとなぞられ、ぞくりと鳥肌が立つ。
(あれ……何か、触り方が)
妙に優しく、滑らかな動きに飛香は違和感を感じた。
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