アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
061
-
僅かな抵抗も虚しく、ユーリスの腕が下半身に伸びようとした時、飛香は驚いた反動で勢いよく顎を引いてしまった。
「ッ」
「あ、ごめ……っ」
(って何謝ってんだ俺!!)
わざとじゃないが舌を噛んでしまったらしく、ユーリスは口元を押さえて顔を伏せた。
「っー……舌を噛まれたのは初めてだな」
「だ、だってお前が…!つーか自業自得だろ!?」
今のうちに距離をとった飛香は、壁の隅からユーリスを威嚇した。
拘束から逃れたからなのか、余韻はあるものの先ほどのような強烈な感覚はない。
何度か深呼吸すると、次第に怒りが湧き上がってくる。
「あのまま身を任せてたら、気持ちよくしてあげたのに」
「頼んでねえよ!!確かに偏見はないけど、俺の意思は無視か!?」
「おっかしいなぁ。大概の人間は毒が回った時点で堕ちるはずなんだけど…」
悪気もなく首を傾げるユーリスを見て飛香は呆れ果てた。
この調子で色んな人間に手を出してきたのだろう。
色気もあって美形なヴァンパイアに誘われたら、堕ちてしまう人間が多くても仕方ない気もするが。
「っ俺が許したのは血を飲むことだけだ!」
「でも気持ちよかったでしょ?」
「んなわけあるかっ!!あれは、」
「あんなに感じてたのに」
「かッ…?!」
あり得ない発言に飛香は耳まで赤くしてわなわなと震えた。
自分でもわかっていたが忘れようとしていた事実を口にされると、暴れ出したいほどの羞恥心に襲われる。
ユーリスにされたことを思い出すと、怒りと恥ずかしさと情けなさで涙がでそうになった。
「人間が全員お前らみたいなヴァンパイアに靡くと思ったら大間違いだ、バーカ!!」
「バ…….」
「変態!!痴漢ッ!!!強姦魔ッ!!!!」
目を丸くしているユーリスに一気にまくしたて捨て台詞を吐くと、飛香は床に散らばっていた荷物を投げつけて部屋を飛び出した。
言い逃げなんて情けないと思ったが、悲しいことに殴りたくても力で敵わないことを悟った。
(ああ、痴漢された女子高生ってこんな気持ちなのかな…)
思いつく限りの罵声を浴びせて、飛香はどこに続いてるのかもわからない廊下を全速力で走り抜けた。
部屋に残されたユーリスは暫く立ち尽くすと、ぷっと吹き出し腹を抱えて笑った。
「変態、かぁ。生娘みたいなことを言うんだな、あいつ」
投げつけられた荷物を拾い、薄く笑みを浮かべる。
「嫌がられるのも、新鮮でいいかもね…」
新しいオモチャを見つけて、ユーリスはご機嫌に喉を鳴らした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
63 / 74