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「大樹を見つけるためだ。少しくらい我慢するさ」
「そう……わかった。僕に出来る事があるなら何でも言っておくれ。力になるよ」
「ああ、サンキュ」
ノエルの親切が素直に嬉しくて、そっと頭に腕を伸ばす。
少し驚いてはいたが、ノエルは飛香の行為を黙って受け入れた。
「アスカくんのこれは、もしかしてクセなのかな?」
「いや、そんなことないんだけど…大樹がよく俺にやってたんだ。弟がいたからかな。それで、ノエル見てたら、つい…」
大樹のクセが自分にも移っていた事を飛香は少しだけ切なく思った。
弟の姿を飛香に重ねていたのか、からかうように何度も頭を撫でられたのを思い出す。
当時は子供扱いされているようで面白くなかったが、大樹なりの愛情表現だと気付くと、いつしかその行為が心地よいものに変化していた。
兄弟のいない飛香が弟の大地を少しだけ羨ましく思ったのは内緒だ。
「そういえば、君の探している友人の事で話があるのだけれど…」
「え?」
思い出したように腕を組んだノエルに飛香は身構えた。
タイミングよく大樹の話題に変わり、ドキリとする。
「なに?何かわかったのか?」
「うん。まだハッキリとした情報ではないのだけれど……最近、貴族達の間で珍しい生き物が出回っているという噂を耳にしてね」
「珍しい生き物?」
復唱して首を傾げた飛香に、ノエルは複雑な表情を見せた。
「…もしかしたら、それが君の友人かもしれないと思ってね」
「え!?」
突然の情報に目を見開く。
戸惑う飛香をよそに、ノエルは至って冷静だった。
「闇市だと異端者は高値で取り引きされるし、希少価値から興味本位で手元に起きたがる貴族は多いのだよ」
「…?それってどういう意味だよ」
「つまり……奴隷として貴族に飼われている可能性があるということなのだよ」
「なっ?!」
あまりの衝撃に飛香は言葉を失った。
人身売買や奴隷制度は違法だろうとも思ったが、ここでは飛香の常識はことごとく通じないらしい。
ショックを受ける飛香に、ノエルは優しく声をかけた。
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