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マティアスは中央の革張りのソファに座ると、大きく両手を広げて歓迎ムードを醸し出した。
「突然の訪問、歓迎するよ。やっと僕のコレクションに加わる気になってくれた?」
「…いえ、今日はとある情報を小耳に挟んだものですから、その見物に来ました」
「ええ〜そうなの?」
満面の笑みで話題をすり替えたハオに、マティアスは少しがっかりした素振りを見せ、しかし興味深そうに腕を組んだ。
「さすが、耳が早いんだねぇ。仕入れたのはついこの間なのに。君が僕のコレクションに興味を持つなんて珍しいじゃないか」
「色んな噂が飛び交っていたので、どうしてもこの目で真相を確かめたかったのですよ」
「ああ、根も葉もない噂が流れているのは知っているよ。君は一体、どの噂を聞いて興味をそそられたのかな?僕としてはそっちの方が気になるねぇ」
「ああ、それはですね…」
薄く微笑むマティアスに対して、ハオは慣れたように会話を続けた。
そんな二人の様子を見て、飛香はほっと息を吐く。
(なるほど…顔見知りなら話が通りやすいって事か)
ハオとマティアスの会話を耳に入れながら、飛香は二人が既知の仲である事を知った。
ハオの取り繕った笑顔を見ると、どうやらマティアスの一方通行のようだが。
嘘の笑顔を貼り付けたまま会話を弾ませる二人を見守っていると、やがて飛香の存在に気付いたマティアスが目を丸くして興味の対象を移した。
品定めするように見つめられ、心臓が大きく跳ねる。
「君が誰かを連れてくるのは初めてだね。一体何者だい?」
「私の隷属ですよ」
「君は特定の隷属は作らないんじゃなかったのかい?」
「ただの気まぐれです。身体の相性がよかったので、側に置いているだけですよ」
「!?」
不意に肩を抱かれ、飛香は思わずハオを見上げた。
すると、何も言うなという威圧的な視線に貫かれる。
邸に入る前の会話を思い出し、飛香は大人しく口を噤んだ。
「ああ、そういうことか。君は他人に興味がないものだと思っていたから、これは新たな発見だよ」
「欲望に忠実なのがヴァンパイアですから」
「……………。(よくもそんな嘘をペラペラと…)」
呆れて言葉を失っていると、舐め回すような視線を感じて飛香は身震いした。
視線の主を探すと、マティアスが玩具を見つけた子供のような顔をしてほくそ笑んでいる。
その無邪気な笑みに、飛香は嫌な予感がした。
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