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「ふぅん…君のお気に入りかぁ。実に興味深いね。どこで拾ったんだい?」
「…11地区の教会です。孤児として彷徨っていたところに契約を持ちかけました。この通り、小綺麗にすれば容姿も悪くないでしょう?」
「っ……!?」
ハオの口から当たり前のように出てくる嘘に関心していると、隣から強引に顎を掴まれ、飛香は息を飲んだ。
突然の事に思わず抵抗しそうになる。
だが振り払おうと反射的に動かした腕は、ハオの手によって拘束された。
ギリッ
「痛…っ」
遠慮のない力加減に腹が立ち、背後を振り返る。
すると、氷のような冷たい瞳が飛香を映した。
ーーー殺される。
瞬間的にそう思ったのは、ハオの瞳に感情の有無を感じられなかったからだ。
逆らえない何かを感じて固まった飛香を、マティアスは鼻で笑った。
「んー、確かに顔は悪くないけど…何というか、気品が足りないよねぇ。それに僕、普通の人間には興味ないんだ。その辺にゴロゴロいるような虫みたいな存在に価値はないだろ?」
「は、…むぐ!?」
思わず言い返そうとした飛香の唇をハオの長い指が遮った。
マティアスの言動に顔色を変えることなく、ハオは至って冷静に相槌を打つ。
「ええ、その通りですね」
「ああ、でもその点、君は合格だよハオ。是非ともコレクションに加えたいね」
「恐れ入ります」
マティアスの興味は再びハオに移ったらしく、それから飛香を視界に入れる事はなかった。
ほっとすると同時に腕を解放され、気付かれないようにハオを睨む。
乱暴な扱いには腹が立ったが、ここまでついてきてもらった立場では何も言えず。
結局よくわからないハオの嘘に助けられた気がして、飛香は複雑な気持ちになった。
(何が気品だよ。確かに俺は庶民派だが、お前に虫呼ばわりされる筋合いはないっつーの)
マティアスの人を見下したような態度に内心毒づきながら、飛香は言いたいことも言えない理不尽さに憤りを感じずにはいられなかった。
奴隷という立場が発言すら許されないのなら、それはもう家畜と同じだからだ。
もし人を虫呼ばわりするような連中に大樹が捕まっているのだとしたら、まともな扱いを受けていないのは容易に想像できる。
(はやく助けないと)
焦燥に駆られた飛香が強く拳を握っていると、その様子に気付いたハオが小さくため息を吐いた。
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