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倉 後段4完結~R18腐、オリジナル
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四
少しばかりの美貌を鼻にかけた女がいま、俺の目の前で、三匹の獣に食い散らされている。
この女は立場こそ俺の妻だが、実際は妻という形式で虜囚とした犯罪者。
この女の罪状は、殺人。
この世で一番美しい生き物を、その薄汚い手で絞め殺した、史上最低のゴミだ。
天野澪。
旧姓多田澪。
中等部で理科を教えていた俺に、やたらチャラチャラしてた女生徒たちの一人。
決して悪印象ではなかった。(とりたてて良い印象だったわけでもないが。)
この女がまさか真犯人であろうとは、俺は思ってもみなかった。
真実を知るまでは。
刑務所を出た後の三人の、足取りを追うのは一苦労だった。
いろいろな事件が矢継ぎ早に起こって、被害者やその家族たちの人権『も』、多少は忖度されるようになってきた昨今だが、いまだ法律は『更正した加害者』側を手厚く守っていたからだ。
だが、水原学園の教師という立場が幸いし、島井たちの親族から、なんとか情報を得ることができた。
(もちろん金ずくだ。
この頃、俺は親の制止も振り切って、意地になって金を使いまくっていた。
他の親族からクレームがくる寸前まで使ってしまったけど、その甲斐あって真相の間際までこぎつけた。
だから俺のしたことは、決して無駄じゃなかった。
無駄じゃなかったと…信じている…。)
出所した彼らを、高等部代表理事~元。あんなことがあってなお、現役で理事を続けていられたら、それはかなりな心臓だ。~はもちろん、引き受けようとはしなかったが、十年の刑務所暮らしで、無頼ぶりに磨きがかかった島井たちは、元理事から小遣いをせびり取っては、夜の街に繰り出す、そんな日々を送っていたらしい。
まだ二十代半ば。
野心も脂気もたっぷりなやつらが、小遣い程度もらっておとなしくしているとも思えない。
俺はそこにつけ込んだ。
やつらは俺を知らない。
水原学園の中等部と高等部は、建屋もシステムも全然違う。
持ち上がりも半数以下だから、高等部の生徒の大半は、中等部の教師をあまり知らない。
新任だった俺と、ほとんど授業に出ていないインチキ生徒たちなら尚更だ。
俺は闇社会の一員のふりで誘った。
お宝満載なのに警備手薄な旧家の倉がある。
行ってちゃちゃっといただこうぜ。
三人はすぐさま乗り気になった。
もちろんその倉のありかが、亡き麟の生家、北岡邸なことなど、島井たちは知る由もない。
旧家の見事な造りだの、庭園の仕上がり等には一瞥もくれず、三匹は一路、倉だけを目指して進んでいった。
「ここか?」
「何でえ。鍵開いてるしじゃん」
二十六才のバカどもは、罠とも知らずに中へ入ってゆき、すぐに意識を失った。
そう。
俺も『之那(ゆきな)』を使ってみたのだ。
意識を取り戻した後の三人の様子は、諸氏のご想像の通りである。
さすがは倉。
バカどもは瞬時もじっとしていなかったが、崩れもせず、罅(ひび)も入らず、広い敷地も相まって、表には物音一つ漏れなかった。
罵り、叫び、暴れ狂い、島井などは喉から血を噴いた。
倉の中のあれやこれやを手当たり次第叩き壊し、互いに殴り合って木川が失神した。
四時間近くも暴れた後に、野獣たちは小休止、やっと思考することに思い至ったようだ。
最初は俺が誰かということだった。
「俺らに狩られたオヤジか?」
「あんなダンディを狩った記憶はねえよ」
「理事やろうからの刺客か?」
「くそっ。俺らをお払い箱にする気か!」
「唐突っちゃー唐突だよな。だとしたらー…」
この後三十ほども悪行が挙がったが、麟の名は出て来ず、俺の怒りは頂点に達した。
「てめえらは、北岡麟のことは覚えてないのか」
絞り出すような声で明かり取りから俺が問うと、倉の中を暫しの沈黙が包んだ。
「あんた、あいつの遺族とかか」
遺族。
そんな簡単な一言で、俺と麟は語れない。
俺たちはサバイバーだ。
一族の、悪意ある性的搾取からの、ぎりぎりのところからのサバイバー。
守り通したかった宝。
こいつらが…殺した…
俺が答えず黙っていると、中からは、げらげらげらと、下卑た笑いが上がってきた。
「カレシだなぁ? もしかして」
「でも、初物だったぜえ?」
「喰う前に俺らに喰われた?」
「間抜けえ~」
「めちゃめちゃよかったぜえ~」
三人はひどく粗野に笑い、俺の気持ちを逆撫でした。
『之那』だ。
『之那』で殺してやる。
俺は『之那』を研究し尽くした。
成分の上げ下げ一つで、今や殺し方は自由自在だ。
眠るようにも殺せるし、悶え苦しみ死なせることもできるのだ。
後者の成分之那を使おうと決めた、まさにその時、島井が妙なことを言い出した。
「でも俺ら、ヤっただけだぜ。俺ら行くとき、あいつ生きてた」
え。
「誰も信じてくれなかったけど、俺ら殺してないんだホントに」
「犯人、あの場にいたもう一人のやつなんだ」
もう一人のやつ。
それ…誰だ…?
五
そいつは今、俺の目の前で、三本の男根をねじ込まれている。
初めて使われるヴァギナからは、たらたらと鮮血が垂れている。
後ろも当然初めてだろう、そこからも鮮血飛び散らせ、口にハメられた大ぶりの男根に至っては、顎関節を外しかねないほどの漲りで、女に苦痛をもたらしている。
嫌がって暴れれば、押さえ込まれて殴られ、あしらいが悪く思われれば、すぐさま蹴りが見舞われる。
見た目が自慢の女だったが、今はどこが顔だかわからないほど変形してしまっている。
同情心は湧かない。
俺の頭の中で、事件は形を変えている。
おまえがおとなしくやつらに犯られてれば、麟は無事だったかも知れない、とか、おまえが麟を守って身を呈せばよかったのに、とか。
認める。
俺は間違ってる。
それでも俺はこの女も、罰さずにはいられない。
女だから。
それもある。
だって女には、受け止める器官があるじゃ
ないか。
麟にはなかった。
だから…
だからどうしよう。
結婚までして捉まえたこの女に、後々どんな使い道があるというのだ。
そして三匹のケダモノは。
生かしてここから出すわけにはいかないじゃないか。
果てしなく続くグロテスクなラーゲを見続けながら、俺の脳内に新しい計画が湧き上がる。
俺は笑む。
じんわりと。
俺は麟を取り戻す。
取り戻さずにおくものか。
完
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