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サクリファイス-人犬-1~R18腐、オリジナル
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一
宗田の所には二年居たが、鈴は彼の専用ではなかった。
むしろ鈴は接待用で、普段は待機が多かった。
生活はたいてい全裸だ。
身につけているのは犬用の首輪だけ。
連れ歩かれる~といっても、たいていは屋敷内だけだが~時には、それにリードがつく。
四つ足でいることが多いので、膝と掌が角質化しやすいが、そこはそれ、宗田は財力にものを言わせ、鈴専用のスキンケアラーをつけ、それを防いでいた。
ケアラーは鈴より少し年上、二十歳くらいの青年で、大手スキンケアサロンから、宗田に直接スカウトされた。
初めて来て、自分の『客』を見たときの、ケアラーの反応といったら、ただもうひたすら目をみはるばかりで、暫くは言葉もなかった。
美しい少年が、全裸で四つ足で、当たり前のように暮らさせられているのだ。
驚かない方がどうかしている。
だが宗田には、この反応は見慣れたもの。
ごく当然のように、鈴に接待を命じ、鈴は素直に従った。
茫然と立ち尽くす彼の真ん前まで四つ足で這い進み、伸び上がって上体を寄せ、手近なソファに、押し倒すように座らせた。
歯を使ってケアラー~名は鈴木亮という~のジーンズのファスナーを引き下げ、下着の中からそれを咥え出し、そのままするりと口に吸い込んだ。
舌先の刺激。
たちまちそれが屹立する。
大きくして、感じさせて、発射を促す。
液をコクンと飲み下した後は、きれいに舐めて後始末を済ませ、何もなかったように、再び自分の場所~それは高価な一枚物のリアルファーだが、所詮は小さな敷き皮にすぎない~へ戻った。
すべて四つ足のまま。
今もよく躾られた犬のように控え、宗田の指示か愛撫を待つ。
後には間抜けにだらんとなった、亮の男性器が、ジーンズの前立の間からのぞいているだけ…
何もなかったかのように、宗田が告げた。
「これの髪と肌のメンテを頼みたい。費用はどれだけかかっても構わない。引き受けてくれるな?」
か? ではなく、な? だった。
亮はノーとは言わず(言えず)、そのまま今に至っている。
亮は時々自分を疑う。
ここは、この場所は、ほんとに現実なのかと。
四六時中裸の少年が、犬として暮らす館。
これが淫夢でなくてなんだというのか。
自分がケアをしている間も、犬は言葉を発することはなく、たまたま宗田が留守の日にケアに来て、年の近さも手伝って、犬に気安く話しかけてしまったときも、犬は気怠くかれを見て、再び瞳を閉じただけだった。
少し腹が立った。
「おい」
髪を掴んで自分に向かせ、ものの道理を教えようとする。
「てめーに雇われてるわけじゃないんだぞ。てめーの飼い主に雇われてんだ。黙殺はないだろうが!」
犬は目を開いたが、彼のことは見ていない。
もの凄く迷惑そうに、一瞬だけ彼を見て、初めて口を開いた。
「前のケアラーは俺の名を聞いた。答えてやったけど、今はどこかのダムの底だと思うよ?」
「!」
「あんたもそうなりたいのかな」
問う犬の言葉には、何かが満ち満ちていて、それきり彼は好奇心を捨てたのだった。
宗田は暴力団員とかではない。
一匹狼のやくざでもないし、蛇頭やどこかの工作員でもない。
ただのコンピューター関連業者に過ぎないのに、彼は犬の言葉を信じた。
信じざるを得ない雰囲気を、この屋敷と宗田は持っていた。
実際、仕事関係の人間がここで接待された場合、たいていは度肝を抜かれてしまい、契約事なら必ず成立するし、敵対者なら籠絡されるか恐怖するかの二つに一つとなるだろう。
生きた人間を、平然と飼う男に、誰が対抗出来るというのか。
何かが純然と違っている。
宗田はそういう男なのだ。
二
時々、犬の品評会がある。
ある時は屋敷内で。
またある時は全く別の会場で。
別の会場に鈴を運ぶのは、実は容易ではない。
いや、人に戻せば簡単なのだろうが、それではもはや犬ではない。
だから宗田は鈴を、あくまで犬として車に乗せる。
全裸に首輪とリードという、いつものスタイルで通させたいが、そこはそれ、どんな瞬間に人に見られないとも限られないので、一応人犬用のコートを着せる。
家具用の埃除けが、ちょっとファッショナブルになった程度のもの。
その裾から手足の先だけが見え、上部からはリードだけが覗く。
そんな姿で辿り着く先々で、コートを外された鈴は必ず、賛嘆と驚嘆のため息を浴びるのだった。
ため息だけで終われずに、どうしてもと、宗田に望む者もいる。
そんなとき宗田は意外と簡単に鈴を貸す。
犬だから。
恋人ではないから貸し出せる。
そんなとき鈴は、宗田の前で、何度も何度も犯される。
何人もの男たちに使われることもある。
それでも鈴は沈黙を守り、ただただ愛撫とセックスに耐える。
あの頃のように、泣いたり喚いたりはしない。
あの頃は人だった。
今は違う。
そんな鈴を誰もが欲しがり、大金を積みさえするが、もちろん宗田は手放さない。
宗田にとり、鈴は所有するに足る犬でしかないが、その『所有する』をクリアする犬が世間に何頭いるだろう。
いま鈴は、確かに希有中の希有な存在となっていたのだった。
その日、珍しく、宗田は自ら鈴を抱いた。
初めて鈴を抱いた日のように、かれの後ろがトロトロになるまでほぐし、それからゆっくりと、朝までかけて、何度も何度も愉しんだ。
おまえを仕込んでよかった。
おまえは最高の犬だ。
出会えてよかった。
鈴は戸惑った。
どうしてこんなことを言うんだろう。
まるでもう、会えないみたいじゃないか。
人犬の怪訝な表情に、宗田はちょっと困ったように笑ったが、それ以上は何も言わなかった。
翌夜。
飛行機が落ちて。
宗田は死んだ。
2へ続く
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