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ザァー…
目の前に広がる海。
月明かりがあるおかげで多少明るい。
「兄さん…」
なんであんな変わってしまったんだろう。
「ー……」
”ぅ…はぁ…”
”今日はこれで最後だぜ。戻って寝ろ。明日は週末で忙しいしな”
”に、兄さん…おれ…”
バシッ…
”汚い手で触んなよ。…早く戻れ”
…あんな冷たい目、初めて見た。
明らかな『拒絶』。
一緒に住んでた家も、時間も今は全て変わってしまった。
今じゃ一緒に過ごす時間は仕事の要件を伝えられる時と新しいお客さんに紹介する時だけ。
俺がしっかりしないから…
甘え過ぎてしまったんだ。
小さい時、両親が借金を残していなくなってしまった。
それから兄さんは必死に働いて俺を育ててくれた。
だから、恩返しだと思って…
なのに…
「…ごめんなさい……
兄さん…」
何度も口にしながら目の前に広がる暗い海へ歩を進めた。
まだ秋口だけどもう水は冷たい。
「ふ…っぅ……」
溢れてくる涙を止められない。
あと少しで胸まで浸かろうとした時、後ろからザブザブと水音が聞こえていきなり腕を掴まれた。
「っ…」
「何してんだよ!お前っ」
振り返ったら長身の人で、月明かりで照らされてる金髪がやけに眩しく見えた。
「は、放してください!俺っ…」
掴まれた腕を振り払おうとしたけど、その人の力の方が断然上だった。
「いいからこっち来い!」
「っ…」
痛いくらい引っ張られて歩いてきた道を戻る。
抵抗も敵わず、砂浜に戻ってきてしまった。
「たく、何考えて…」
「なんで…」
「!?って、おい…!」
また海に入ろうとしたら後ろから抱き締められて。
ふいに薫る香水に一瞬止まってしまった。
「…はなせ!俺が死んでもあなたには何の関係もないじゃないですかっ」
どんなに暴れても離してくれない。
体格差や力で全然敵わなかった。
「そーいう問題じゃねぇだろ!」
「っ、やだ!死なせろっ…」
俺なんか生きてたって迷惑なだけ。
…苦しい。辛い。逃げたい。
存在したことすら消したい。
暴れる中、背後から舌打ちするのが聞こえた。
「んんっ…」
顎を掴まれたと思ったら、無理矢理後ろを向かせられて唇に柔らかい感触がした…
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