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(真緒side)
俺が話し終わったところで葵さんが口を開いた。
「その後俺のこと探したの?お前」
頷くと葵さんはタバコの煙を吐き出して灰皿に揉み消す。
「てか、あー…マジ」
「え…?」
なぜか頭を抱える葵さん。
「お前、あん時の奴だったのか」
「!覚えて…?」
返ってきた言葉に俺は驚く。
顔を上げた葵さんはジッと俺を見てきて。
「思い出したくはねぇけど」
「っ…そ、ですよね…」
俺なんかの事なんて思い出したくないよな…
込み上げてくる涙に俯く。
「勘違いすんなよ。あの時、俺すげーイラついてたから」
葵さんはそう言って大きく息を吐き出す。
「ホスト始めたばっかで、ミス連発で客には怒鳴られるし先輩には雑用ばっか押し付けられるし…。ホント最悪だった」
「…葵さんが?」
そんな姿が全く思い浮かばない。
「最初から何でもできたわけじゃねぇよ。…まぁ、あの時があったから今があんだけどさ」
あの時があったから…
葵さんの言葉が頭に木霊する。
「それは、あの…俺も一緒です。あの時、葵さんに会えてたから、俺…」
今こうやって生きていられる。
どんな辛いことがあっても乗り越えられた。
「…お前、黒髪だったよな。なんで染めたの?」
ふいに葵さんの手が伸びてきて俺の髪に触る。
「葵さんがホストだって知って、入る時染めた方がいいかなと思って…」
「ふーん…なんで銀髪?」
「…あ、葵さんが金髪だったから、です…」
髪を撫でる手が頬を伝って唇に触れる。
視線が合った途端ドキッとした。
「なんだよ、それ」
ふっと笑う表情に尚更心拍数が上がってしまう。
あぁ、本当にここに…葵さんの部屋に一緒にいるのが信じられない。
「とりあえず、当分の間はいろよ。うち親は仕事で帰ってこねぇし、すばるしかいないし。好きに使っていいから」
「で、でもっ…」
口を開いたらキスで塞がれてしまった。
「いい加減諦めろよ。先ずは体治す方が先だろ」
「っ…だけど、何もしないのは…」
俺の言葉に葵さんは仕方ねぇなと呟いた。
「んじゃ、飯でも作って。無理しない程度にな」
頭をポンポンと撫でられて、顔が熱くなる。
俺は小さく頷いた。
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