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《番外編》流木家の元旦
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元旦。
仕事も唯一の休みでリビングで寛いでいた。
「葵さん、コーヒー淹れました」
「ん。サンキュー」
真緒から受けとって口にする。
丁度いい甘さが口内に広がった。
「…なんでそっち座んの?」
真向かいのソファに座る真緒になんとなくそう言っていた。
「え…」
「こっち来れば」
ポンポンとソファを叩けば戸惑いながら真緒が隣に座った。
距離を置いて。
俺の事を好きという割にコイツは何も求めてこない。
ただされるがまま。
ここに来てからもずっと。
それがホントかすら疑ってしまう。
誰かに思われる事なんて今まで当たり前で、気にも留めてなかったのに。
…よくわかんねー。
「あの…今日夕ご飯何がいいですか?」
そんな時、沈黙を破ったのは真緒だった。
「別に、なんでも。すばるもお前の飯美味いって言ってたし、何でもいんじゃねーの」
タバコに火をつけながら言えば少し照れたように俯いた。
「…じゃあ、おせちとすき焼きでいいですか?」
俺が頷くと立ち上がる真緒。
特に何も考えないまま、その腕を掴んでしまった。
「どこ行くんだよ」
「えっと…材料買いに行ってきます」
俺の手を振り払う事もせず、真緒は返事する。
ここであっそとかテキトーに見送れば良かったのになぜか言えなくて。
その腕を引き寄せて自分の膝上に抱き上げていた。
「っ…葵さん」
「…後で行けばいーだろ。今日元旦なんだし」
こんなんで理由になるわけないのは自分が知ってる。
でも何も聞いて来ない真緒に少しだけ安心した。
「わ、分かりました。…あの、」
「何?」
まだなんかあんのかよ。
真緒を抱き締めたままその頭に顎を乗せる。
「行かないので、離して下さい…」
俯いたまま俺の胸を押し返してくる。
「なんで?別に問題なくね」
離す気なんて更々なくてぎゅっと強く抱き締めた。
「あ、葵さんっ…」
すげぇ心臓速くなってるのが伝わってくる。
「…お前いい加減慣れたら?俺に触られんの」
少し離して顔を覗くと案の定真っ赤だった。
普段何があっても表情変えないくせに。
こーいうとこがなんかなぁ…
「葵さんだから、無理です…」
…あー、ホントたち悪りぃ。
そう思いながら真緒の唇を深く塞いだ。
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