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「葵、来たか」
開店前の店は静かで、事務所に行ったら高山さんと社長がいた。
「怪我も治ったみたいだね」
「まぁ…」
「真緒はどうしてる?」
ソファに座るといつものコーヒーと砂糖、ミルクが出される。
「…元気ですよ。痣も薄くなってきたし、怪我も分からないくらいで」
「ならいいけど。無理は禁物だからね」
「……はい」
なんか勘付かれてるような…
社長の笑顔が怖い。
「早速なんだが、昨日颯斗が行っただろ」
「あー、流記夜の事ですよね。客には連絡してとりあえず明日から出勤します」
「悪いな。本当は今月いっぱい休ませたかったんだが…」
険しい表情を浮かべる高山さんに社長が口を開く。
「まさかこんな事になるとは思わなくてね。流記夜とは接触あった?」
「まだないですけど」
「まだって…会う気かお前」
高山さんが少し驚いたように俺を見る。
「客取られてんですよ。会わないほうが無理でしょ」
ましてや元同僚に。
今更何のつもりで…
「急にいなくなって、敵対してた店に寝返りしたアイツを俺は許してないですし」
「…頼むから警察沙汰だけはやめてくれよ」
高山さんはそう言って息を吐いた。
「ねぇ、葵」
やけに真面目に名前を呼ばれて、社長を見る。
「感情に流されて大事なこと見失わないようにね」
…大事なこと?
「なんスか、それ」
「ふふ、それは自分で気付かないと。葵は鈍感だけどね」
笑顔で返されて話はそこで終わった。
つか鈍感て…
「んじゃ、とりあえず今日は帰ります」
立ち上がる俺に高山さんも立ち上がった。
「今日はゆっくり休んでくれ」
「はーい」
「真緒にもよろしくね」
社長の言葉に頷いて俺は店を後にした。
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