アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
海
-
「ここって…」
海沿いを走ってると真緒が窓の外を見た。
「分かる?」
コイツの話を聞いてふと思いつきできたけど…
駐車場に入って車を止める。
「なんで、来たんですか?」
「…さぁ?ほら、降りろよ」
改めて聞かれると返事に悩んで誤魔化すように車から降りた。
心地いい海風が吹きぬける。
「少し歩くか」
「…はい」
砂浜を歩くと平日だからか人はあんまりいなくて。
海が打ち寄せる音とカモメの声しかしない。
暫く歩いて、後ろを黙って付いてくる真緒に振り返る。
「ここ座ろーぜ」
ちょうどいい流木が砂浜にあったからそこに腰掛けた。
「ん」
「ありがとうございます」
来る前に買ったアイスを袋から出して真緒に渡す。
「…溶けてんな」
「ふふ、結構歩きましたもんね」
そう言って棒アイスを舐める真緒を見てしまう。
垂れないように下から舐め上げる姿に俺のを重ねてしまった。
…えろ……
「葵さん、食べないんですか?」
真緒の言葉に手にしてるアイスを見たらダラダラと溶けて汁が砂浜に落ちていた。
「ヤバ!」
慌ててそれを食べる。
つか、なに考えてんだ…俺…
「美味しいです」
「…そーだな」
内心自分に呆れながらアイスを食べ終えた。
「俺、ここ来るの久しぶりです」
そんな中真緒がポツリと口を開く。
「あー…俺も。前は毎日来てたけど」
「そうなんですか?」
「なんか、頭ん中グチャグチャになった時は毎回来てた。海見ると少し気が紛れるっつーか」
泳ぐとかはねぇけど。
「最近はな、忙しくて。…お前の世話も押し付けられるしね」
「す、すいません…」
「冗談だよ。最初はすげぇ面倒くさかったけど」
今はそれ程でもない、気がする。
「まさか本当に葵さんが担当についてくれると思わなくて…。すごい、嬉かったです」
そう言って笑う真緒が可愛く見えた。
一緒にいる度に以外と色んな表情を見せてくる。
最初は無愛想って思ってたのに。
「あんな冷たくしてたのによく耐えたね。お前」
俺が言うのもなんだけどさ。
「…嫌われるのは慣れてるから。それに、俺が傍にいたかったからです」
嫌われ…
「別に嫌いなわけじゃねーよ。俺は…」
そこまで言って止まる。
何言おうとしてんだ、俺っ…
「…そう言ってもらえるだけで嬉しいです」
黙る俺に真緒が口を開いて助かった。
「少し海入ろうぜ」
見てるだけも物足りなくて、立ち上がって真緒の手を引いた。
「でも、着替えっ…」
「バーカ。足だけだよ」
靴と靴下を脱いでズボンをあげる。
海に入ると冷たくて気持ち良かった。
「うわ、久々」
不思議とテンションが上がる。
「…冷たいです」
相変わらず変わらない、コイツは。
ちょっと意地悪したくなって軽く水をかけた。
「っ…」
「気持ちいーだろ?」
「はい…っわ」
「!あぶねっ…」
濡れた顔を拭おうとした真緒がこけそうになって支えようとしたら…
バッシャーン!
…一緒にこけた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
96 / 196